賽は蒼白のまま煌炎を揺さぶるが、虚しくも返事はない。



え・・・嘘ですよね?
煌炎様・・・起きてください・・・?





―・・・・。


賽は蒼白のまま煌炎を揺さぶるが、虚しくも返事はない。



冗談ですよね・・・?
こんなあっけなく・・・煌炎様が死ぬなんて・・・嘘ですよね?


笑顔を取り繕うが、手は恐怖で震えが止まらない。



だから言ったじゃねぇか・・・。


家主が言葉を放ったと同時に、その体は半ば叩きつけられるように賽によって障子に縫い付けられた。



ぐっ!?





これは、どういうことです・・・?





ちょっとお兄さん!!
その人は何もしてないでしょ!!





まて・・・・!
どういうことはこっちの台詞だよ!!?
なんで俺がこんな目に合わなくちゃならないんだ!?


その苦し気な表情に賽ははっとすると、慌てて手を離した。



けほっ。





す、すいません。
あ・・・取り乱してしまって・・・。





ほんと、家の中に入れてやったのに、とんだ役回りだよ。
あんたたち、本当に四国の現状を知らないんだな。





あの・・・、本当にすいません。
ところで、おじさんは煌炎さんがどうしてこうなったのかをご存知のようでしたが?





四国では、どうしてもという場合以外外出するなというのが常識だ。
七人同行様がいるからな。





・・・・つまり、これはその七人同行の仕業と・・・?





ああ。





・・・花蓮さん、少々このお宅で待っていていただけませんか?





え・・?





あんたもしかして、外に出ようって言うんじゃないだろうね!?





当然です。
・・・煌炎様の仇は必ず私が取ります。





やめときな!!
七人同行様を倒すどころかきっと見つけることもできやしないよ!
なんせ、あのお方は【透明】なんだ。





・・・透明?
見えないんですか?





あぁ、姿を見たものはひとりもいない。
そして存在に気付いたころにはあの世行きさ。





それはどういう・・・?





七人同行様とすれ違っただけでみんな死ぬんだよ。





!?


