審判が告げると会場は黒兼丸の時並な盛り上がりを見せる。
続いてＢブロック！
赤、あまたの戦で功績をあげた男、武藤心斎（ムトウシンサイ）！
対する白は期待の新星、なんとあの孤王皇家の子孫であられる風虎様だ！
審判が告げると会場は黒兼丸の時並な盛り上がりを見せる。
・・・・。
・・・・。
なんだありゃあ。
面なんて付けてちゃ風虎か全くわかんねぇよ
白ブロックから現れた男は狐の面を身に着けており、全く顔が伺えないために煌炎は眉を寄せる。
では開始！！！！
わぁという歓声とともに会場が更なる熱気に包み込まれる。
戦況が動いたのも開始の合図、その瞬間だった。
面の男の懐からｷﾞﾗﾘと鋼のクナイが姿を見せる。
おっ。
そのクナイはなめらかに男の手を滑り、そのまま音もなく心斎に放たれる。
しかし、流石戦で名をあげるだけあるようだ。
心斎はいともたやすく放たれたクナイを刀で弾き飛ばした。
きかんわ！！！！
・・・・。
風虎と思われる男は予想済みといった涼しい様子で
そのまま一直線に心斎めがけて駆け、跳躍。
すかさず構えをとる心斎。
いつだしたのか、再びクナイを手にした風虎と呼ばれる男はその心斎の刀を空中で弾くと心斎の後ろに着地する寸前、
男は左手で着物の袖から再び目にも見えぬ速さでクナイを放つ。
・・・だから。
・・・。
きかぬと言っているだろうが！！！！
口元に勝利の笑みを讃えた心斎は風虎が放ったクナイを再び弾くとその勢いのまま突進する。
くら……………えﾞっ、ゴパッ…！！！！！！！？？？
・・・・。
しかし、心斎の刀が風虎に届く寸前、心斎の口から赤い液体がこぼれ落ちる。
倒れ込む心斎と裏腹、男は風のように優雅に着地。
心斎の背中には巨大な手裏剣が突き刺さっていた。
いﾞっ…いﾞづのまﾞに…………。
―。
まﾞ……まざが…、さっぎのグナイといﾞっじょに……ぞ、そんな…馬鹿…な………………。
巨体はそのまま動かなくなり、赤い水溜まりをつくる。
観客は再び間をおいて歓声をあげる。
こ、煌炎様。
これは・・・。
・・・・あれは【刺さってる】な。
もう駄目だ。
・・・まさか。
あぁ、死んでる。
か、風虎様が・・・そんなことを。
てめぇのせいで罪のない命を奪う人間はクズだ。
？
俺たちはあのくそ親父からそう遺言を残されてんだ。
あの風虎がこんな真似するわけがねぇ。
・・・ということは。
誰かが風虎の名を語ってる。
そうなるな。
もみじ饅頭殿！！
次の試合が始まりますので会場に来てください！！
あ、煌炎様、アナウンスで呼ばれてますよ！
会場に向かわれてください。
めんどくせー・・・。
先程の緊迫とした雰囲気を断ち切るかのように煌炎は大きく欠伸をした。
出なくていいか？
だめですよ！！！
へいへい。
おたくは後がうるせーからなァ。
ちょっくら様子見してきますかねェ。
煌炎さん！
お兄さんはダメって言ってるけど、あんな奴らが沢山いる武闘大会なんて棄権した方がいいよ！危な過ぎる！
先程の試合が堪えたのか、花恋は涙目で煌炎に訴えた。
しかし煌炎はひらひらと手をふっただけでそのまま会場へと歩いていく。
煌炎さん！！
大丈夫ですよ、花恋さん。
でも！
あの方は腐っても孤皇王家子孫、煌炎様なのですから。
