エマが微笑みながら、エルヴィンを指さす。
光の輪が現れ、エルヴィンの身体を締め付ける。



アールグレイはそっちだろ





…………





……身体はそうね





私たちは貴方の中身に用がある


エマが微笑みながら、エルヴィンを指さす。
光の輪が現れ、エルヴィンの身体を締め付ける。



うごぇ





お主の罪を数えようか





人形の火葬は、子供たちに愛を与えた人形に施す儀式





そこにいるウサギとクマは、まだ出会うべきルーシーと出会う前に、ルーシーに愛を与える前に、ルーシーから愛される前に火葬されてしまった





人形を燃やしただけで、バカバカしい





バカバカしいだと?
生まれたばかりの命を炎に投げ入れるとは、恐ろしい行為だ





人間世界では、殺人罪ってところね





お前の罪はそれだけではない





エルヴィンをここに連れ込み、その身体を乗っ取った





そして、エルヴィンはここに閉じ込められた





え?





俺はエルヴィンを恨んでいる。
恨みを晴らす為、人間の身体を乗っ取ることは許されているはず





ああ





恨みを抱いている人形ももちろんいる





3分間だけだ。身体を乗っ取り、相手に恨みを伝える





許されているのは3分間だけ。それだけあれば十分だ





それ以上は許されていない。それなのに、お主は7日間も彼の身体を乗っ取っている





貴方には人間の魂をここに監禁した容疑がかかっている





それの何がいけない? それだけ恨みが深かっただけだ





………





エルヴィンの所為で、俺は馬車にひかれた。エルヴィンが手を離さなければ





俺を火葬するから、ついでに他の人形も火葬されて、ルーシーを悲しませた。全て、全て、全て、エルヴィンが手を離したせいだ





…………





エルヴィンが馬車にひかれれば良かったんだ





………っ





それが正しいと思ったから、俺はエルヴィンの身体を得た。俺はもうエルヴィンなんだよ





それは違うわ





ルーシー?





手を離したのは、私とエルヴィンよ





あなたの右手を私が掴んで、左手はエルヴィンが掴んでいたのよ





ああ、そうやって街を歩いているとき。馬車が俺たちのところに突っ込んで来た。そして、





そして、私のママが私の右手を、エルヴィンのママがエルヴィンの左手を引っ張ったの。同時に引っ張ったから、私たちは同時にあなたの手を離してしまった





嘘だ、悪いのはエルヴィンだ





エルヴィンが悪いのなら、私も同じくらい悪いわ





じゃあ、悪いと思うのなら。俺をエルヴィンと思って愛して、愛して愛シテ





それは無理だな





お前は自ら罪を告白している





……何もしていない……クマとウサギを火葬することも、エルヴィンの身体を乗っ取ることも正しいことだ





正しいかどうかを決めるのは貴方じゃない





あなたがクマとウサギと再会しなければ、貴方が彼らに対し行ったことはわからなかった





これは私たちにとっての賭けだった。
あなたとクマ、ウサギが再会したことで私たちは賭けに勝ったの





はぁ?





私たちはこの中のことしか分からないもの。外で起きた出来事、彼らを火葬した犯人の顔は、あの子たちしか知らなかった。





!!





被害者がこう言っている





こいつがやった





間違いない!!





うぅぅ





犯人確定





さて、まずは身体を返してあげなさい





いやだ、いやだ、いや……


視界が光に包まれたかと思うと、先ほどまで光の輪に捕まっていたエルヴィンがアールグレイに変わっていた。
代わりにアールグレイが居た場所にはエルヴィンが仰向けに倒れている。



…………





う………





エルヴィン!





うぅ





大丈夫?





ああ、頭がクラクラする





七日間も魂と肉体が離れていたのだ。衰弱は激しいだろう





アールグレイはどうなるの?





ここに彼の居場所はない





やめ、やめてくれ……





まずは身体を全て分解しましょう





次に身体の綿を抜こう





やだやだやだやだやだやだやだ





お前が向かうのは、人形の処刑場だ





うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ





さようなら……アールグレイ……





貴方も大事な私の友達だったわ


