それにしては偽物が現れたことに心当たりがあった。名も無き者の存在である。アレが変幻自在に姿をけるからだ。
もしかすると偽物の正体が名も無き者の可能性が出て来たな。
それにしては偽物が現れたことに心当たりがあった。名も無き者の存在である。アレが変幻自在に姿をけるからだ。
もしかすると偽物の正体が名も無き者の可能性が出て来たな。



偽物が現われたから、それをしているんだな





ええ、そうよ





偽物を区別するために白い布を巻いていたのか





おかげで、色々助かったぜ


藤松が話に割って入る。



なんでだ?





お前が知らないだろうが、色々となあったんだよ





六十部が居なかったら、危なかったぜ


藤松が珍しく人を褒めている。どうやら六十部が何かしたらしい。



すごいでしょう。内のサラッチは





何でお前が喜んでいるんだ





へへ、良いじゃん。別に


六十部が惚れられて自分のように喜ぶ久賀に藤松は呆れていた。どうやら鮫野木が居ない内に仲良くなったらしい。



久賀さん。少し黙って、まだ話は終わってないわ





はーい


久賀が口を閉ざすと六十部は話し出した。



さて、偽物については聞いてもらったけど、鮫野木くんはどう思う? 何故、この裏の世界に私達の偽物が現われたか





そうだな、ちなみに偽物が現われたのはいつからだ?





そうね。あなたが現実の世界に帰った次の日からね


そうなると、名も無き者が関係してそうだな、俺が居なくなった事でアプローチを変えたのだろうか? 人間を知ることが名も無き者の目的と言っていたが。



もしかすると、名も無き者が関係しているかも





名も無き者? それは誰?





そうだな――ちょと長くなるが


鮫野木は現実の世界に戻って、ここに来るまでの出来事を全て話した。園崎桜に会って話したこと、協力者から野沢心を助け出す方法を聞いたこと、名も無き者の存在、ありのままを話した。



はぁ





ごめんって


小斗は頭を抱えている。無理もないな。無茶をしないと約束をしたのにかなり無茶をしたと今となってはそう思っている。
そりゃ怒るよな。
鮫野木はビンタされた頬を触る。



なるほど


そう言うと六十部は片腕をあごに当て、もう片方の腕であごに当ててる肘を押さえた。そして黙り込んでしまう。
どうしたんだ? まるで考える人みたいだ。



どうした、六十部?





ああ、サラッチがああ考え出すとなると、考えがまとまるまで周りのこと見えてないから





そうなんだ


六十部は話すことは無く、考え込んでいる。鮫野木は六十部の邪魔にならないように秋斗に質問をした。



そのさ、六十部の代わりに教えて欲しいんだけど?





何?





六十部が二つ想定外な事が起きたと言ってたけど、偽物が現われたこと以外に何があったんだ?





それな、何て言ったら——うん、えーと


言葉が詰まった秋斗は難しい表情を浮かべる。どうやら説明しにくいらしい。



俺が説明するぜ





――サンキュウ


藤松が咳払いをして秋斗の代わりに説明をし出した。



なぁ鮫野木、ループものアニメってあるよな





ん、そうだけど?





いいか良く聞け





この裏の世界はループものみたいに同じ一日を繰り返しているんだ





えっ、はぁ?


流石に耳を疑った。同じ一日を繰り返すだって、点検的なループものの設定じゃないか。



何だよ……それ





アニメじゃないんだぜ?





ああ、アニメじゃない





どうして、ループしてるって分かるんだ?





そいつは、ここに野沢が居ないことが関係してるのか?


鮫野木は立て続けに質問をした。



落ちついて聞け、お前が言った通り、野沢がループの原因なんだ





野沢が?


野沢が居ないことには気付いていたけど、まさか一日を繰り返しているとは本当に想定外だ。俺が戦おうとしている名も無き者はとんでもない相手らしい。
