第3幕
ジャポン・ジャポーネ・
ジャポネーゼ!



ふわあああああ!!!!
すごい!!すごいすごいすごい!!!!
五里さん、百戦さん、海外ですよ!!フランスですよ!!!!!!!!





うるせえ黙れ





おいおい…いきなり田舎モン臭発揮すんなよ海外来たくらいで…





二人は初めてじゃないかもですけど!!!僕は初めてなんですよ!!!





寧ろ田舎者万歳です!!何とでも言うがいいです!!!





…たく…大丈夫なのかこいつ…





なるようになるだろ





うわ!!みてくださいこの時計塔!!こんなところもあるんですね…これは是非行かねば…!!





わあああ!!この小物かわいい!!百戦さん、泡沫さんに買っていってあげましょうよ!!





あのなぁ…千秋。今回ここに来たのは観光目的じゃないんだぜ?





むー、そんくらいわかってますよぉ…





僕らがここに来た理由…それはーー





……





……『Carameliser the phantom thief』…





…ここでも『怪盗』かよ…ったく…面倒にならなきゃ良いが…


第3幕
ジャポン・ジャポーネ・
ジャポネーゼ!



はぁ…学校帰りに夕飯の買い出しなんて…おかげでベルリーナと一緒に帰れなかった…


ヴァシヌスの絵画を盗んでから数日…俺はすっかり元の日常を取り戻していた。
あれだけ俺を包囲していた監視の目もすっかりなくなり…



怪盗としての活動もはかどるってもんだよねぇ♪


監視されていた間のストレスという副産物のおかげもあり、予告状の煽り文句にもますます磨きがかかっていた。先方をイライラさせることのなんと楽しいことか!!!やっぱり怪盗はこれだからやめられないね!!



u^n...era...?





…ん?あの子…


進行方向に、見慣れない風貌の人物がいた…大きい荷物も持ってるし…もしかして、観光客かな?



Salut、お困りのようだね…どうしたの?





aw!?…ああ、すみません…邪魔でしたか!?





いや、そういうことじゃなくて…もしかして、迷ってるんじゃないかって思ってね





あー…実は…恥ずかしながら…





やっぱりね…ここは細い路地が多いから、観光客がよく迷う辺りなんだ。案内するよ、どこに行きたいんだい?





本当で!?ありがとうございます!!
ここなんだけど…


観光客が差し出したメモに書かれていたのは、俺の家からほど近い場所だった。でも、この住所って…



これ…貸し店舗の住所だね…本当にここで良いのかい?





うん!そこで間違いないはず!!





すごいね、住所見ただけでどの建物かもわかっちゃうなんて…!





俺の家、そのすぐ近くだからね。
キャンディーショップなんだ…もし甘いものが欲しくなったら、是非訪ねてきてね♪





キャンディー…!うん!!絶対行くね!!





ここには観光できた…って訳じゃなさそうだね。留学生か何かかな?





ううん…上司と仕事できたんだ。





仕事…あれ…じゃあ、もしかして年上!?





うーん…でも、そんなに変わらないんじゃないかな?君は…学生だよね?その服装を見るに…





僕、高校には行かないでそのまま就職した…というと、ちょっと違うかもなんだけど…そんな感じなんだ





ああ…そうなんだ。じゃあ、年齢的にはほぼタメなんだね…ちょっとほっとした…





僕も!でも君…学生なのにしっかりしてるね…ニホンじゃ、こんなに気さくに話しかけてくれる人はそういないよ!!





ニホン…君、ジャポンから来たの?すごい!!ジャポネズと話したのは初めてだよ!!


その後も互いのことについて話しながら歩き、目的地に着いてからも少し話し込んでしまった。これではきりがないので、また後日ゆっくり話す約束をして、今日は別れることにした。



あ…そうだ!名前まだ教えてなかったね…





俺はサヴァラン…サヴァラン=ブリュレだ。よろしく!





僕はチアキ!チアキ・ツイタチだよ!!よろしく、サヴァランくん!





今日はありがとう!すごく楽しかったよ!!





こちらこそ!今度話すときは、美味しい紅茶の一杯くらい奢らせておくれよ





本当!?やったぁ!!ごちそうになります!!





ふふ、楽しみにしてるよ♪
それじゃ、Au revoir、レディ・チアキ!





!


俺はひらひらと手を振って家路に戻った…ちょっと遅くなっちゃったな…急いで帰ろう…!!



………いつからわかってたんだろう、僕が女だって…


