休日の過ごし方 その2



あっ この帽子いいじゃん……買おうかな。





はい、はいこちらですね。





じゃあ、包んで……んぎゅ! 思った以上に高い!





おじちゃん! もうひと押し!





これでも最低限の価格つけてましてね。これ以上下げたら、おじさん死んじゃいますよ。





わたしこのお店に何回も来てるお得意様でしょお~? ね? ね?





うーん、そう言われましても……





仕方ない……奥の手!





必殺色仕掛け!





今月はお金が無くてほんと大変なの……ねえ、オジサマ。もし安くしてくれたら、イイコト、してあ・げ・る♡





間に合っとります。最愛の妻がいますので。





一蹴……!





まあ、そんなにうまい話はないわよねー





ククリ、ここにいましたか。ちょっとよろしいですか。





な、なんと美しいお方! 天女のようだ! あなたにはこの首飾りが似合うに違いない。ぜひ、買っていただきたい! 二割引、三割引で構いません…‥!





待て待て待て





買います。





おい!





まったく。魅力で男のアンタに負けたってことじゃない。へこむわぁ。





お気になさらず。店員さんが男好きだったのかもしれません。





いや、違うと思うけど……





それで、なんか用事があったんじゃないの。





そうでした。カフェ・カラーペンシルで新作スイーツが出たそうですよ。





ああ、あの本通りの。





行ってみたいのですけど、誘ってもリチャードもスネイクも全然興味ないって顔でしたので……よかったら、一緒にどうです?





いいわね。行きましょう♪





うわー、ひんやりおいしい!





でしょう、でしょう!? 当店自慢の新作なんです。たぁんと召し上がれ♪





ありがたくいただきます。ほっとする味ですね……日々の疲れも吹き飛びそうです。





あら。おすましアルマドさんにも、気苦労とかあるのかしら。





わたしの事、なんだと思ってるんです?





さあ? お人形さんとか?





よーくわかりましたよ。


軽口に花咲かせる二人。するとそのとき。



まったく、どいつもこいつも……プンプン。





あら、あの人は……





ギルドの幹部さんですね。


奥のテーブルにてパフェをドカ食いする女性あり。



あっ





やばっ 見つかった。ちょっと詰めて。





ちょっと、ちょっとなんで隠れるんです。





あたしら、ギルドからしたら商売敵じゃない。出会っていいことなんてないわ。ほら、詰めて詰めて。





どのみち全然隠れてませんってば。お尻丸出し。





やかましい……!





ちょっと、あなたたち。





ぎゃあ! 出た!





人をオバケみたいに言うんじゃありません!





そんなに身構えなくても、何もしません。取り調べじゃないんだから。





この店……結構イケるわね。通おうかしら。あなたたちは、よく来るの? ……もぐもぐ。





えっ いやもうほんの出来心。試しに来ただけで。もう来ないかも。





2週に1回くらいは来ますかね。美味しいし、お店の雰囲気もいいですよね。





シャー―ーーー!





ふふ。嫌われたものね。心配しなくとも、馴れ合うつもりはないわ。 シャクシャク。





ただでさえこの都は、ギルドに所属しない無法者が多いんだから。あなたたちなんてマシな方。 むしゃむしゃ。





それじゃあね。





なんだか一人で話して、食べていかれましたね。





いろいろ溜まってんでしょ……





さて、あたしたちも行きましょ。





ありがとうございましたー! またのお越しを~~!


休日の過ごし方 終わり
