――DAY 3――
午後
町中
――DAY 3――
午後
町中



じゃあ、後でリーヴィニを引き取りに行く





ねえ


去ろうとしたセミョーンを
強くファイーナは引き留めた。



曲がりなりにもオジョーサンがそんな物理的な力で引き留めるなよ……





なんで、何が起きてるかあたしには何も話してくれないの?





何が、ってなんだよ。何か起きてるみたいじゃねぇか





起きてるんでしょ?





そもそも、ショーマが追い返してたあの変な宗教家、あれはなんだったの?





……あれ? そんな奴いたか?





いたわよ! 流石に誤魔化されないわ





冗談だよ。覚えてるって





そう、覚えてるのね?





?





出かけるとき、帰ってきたら詳しく説明してくれるって言ってたの、覚えてるのよね?





…………





肯定ってことね?





……はぁ。いつも通り、聞いた後にはその大口閉じてくれるんだろうな?


セミョーンは深く息をついた。
ファイーナ宅



あの男……20日くらい前に泊まりに来た男は、ただの宗教家じゃねぇ





やっぱり、『神話生物』なのね?





人間だよ。神話生物を信仰してて魔術をいくつか知っている、ってだけのな


ファイーナが当然のようにその名を口にすれば
セミョーンも常識のように言葉を重ねた。



魔術……久しぶりに嫌な語





そんなこと言ってちゃこっから先聞いてられないぜ





冗談よして


ファイーナは目をきゅっと見開いた。



あなたが、色々教えてくれたんじゃない





この町がおかしいことも、『かみさま』が神じゃないことも、化け物がこの世には他にも存在するってことも、魔術のことも教団のこともみんな!





……そうだな





……ごめんなさい。あたしが自分の意志で聞きたいって思ったのよ





……





傷ついてたあたしを慰めようとしてくれたんでしょ?





まあ……3年前のお前は目も当てられなかったからな





見てらんなかったんだよ





……ふふ





……さ、本題に入りましょう?





俺がここのところ町を出てたのは、あの魔術師が何者なのか探るためだった





どんな神話生物を信仰するどんな教団に所属してるか、ってことね?





分かったの?





一応な。どんな神話生物か聞きたいか?





聞かない方が良いくらい危険なの?





それは……どうかな。まあ、最近勢力を伸ばしてきた小さな教団とだけ言っておこうか





勢力の拡大のために、様々な人材を集めていたらしい





人材って?





新しい信仰者、魔術の才能がある者、それと生贄だ





まさか……





リーリヤって娘が来た時期は、あの魔術師が来たのと同じだ。
イリヤは、嬢ちゃんは友人に呼び出されたと言っていた。嬢ちゃんのついた嘘の可能性が高いな





……俺は、魔術師が嬢ちゃんを狙い、脅してこの町で会う約束をさせていたとみてる


