僕は学校でも合間を縫って、ドイツ語を解読していた。周りから孤独し始めていた。主に最初の二日三日は心配していたが野沢の態度に冷めて徐々に離れていった。
僕は学校でも合間を縫って、ドイツ語を解読していた。周りから孤独し始めていた。主に最初の二日三日は心配していたが野沢の態度に冷めて徐々に離れていった。



……





あの~心ちゃん





……





最近どうしたの?





……





それ、見てて楽しい? 私は英語、全然分からないな





……


野沢は黙々と日泉は諦めず毎日、話しかけていた。けれど、野沢は黙々と呪文の解読を続けている。聞き耳を持たず、日々を過ごしていた。
そして呪文の全てが解読できた日の放課後に起こってしまう。



いい加減にしてよ、野沢さん。毎日毎日、意味ないことやってて、私達のことどうでも良いのか!





……意味ないこと


三人の女子に囲まれている。彼女達はもともと仲が良かった。まだ全ては自分のせいだと、気づいていなかった。



そうよ! 話しかけても遊びに誘っても、それに夢中で意味が分からない!





寂しいのは分かるけど、相談してくれても良いじゃん





そうだ、余りにも日泉が可哀想だろ? どれだけ日泉が心配してると思ってるんだ





そんなこと僕は知らない





お父さんが死んでからおかしいよ。野沢


そう、彼女が言うとおり。僕の父はあの手紙が送ってくる前日に死んでいたことが分かったのは手紙が届いた夕食のことだった。



……あ、あ……


電話を落とした母の顔を良く覚えている。その日から母の覇気が無くなるのが分かっていた。分かっていた。けれど、僕は知らないふりをして……僕は……。



悲しんだって、死んだ人が生き返るんですか?





おい、それは酷すぎないか! 自分の父親だろ





そうだね。けど、確実に生き返るとしたら?





ハァ?





何それ





……





この呪文は願いを叶えてくれるんですよ


野沢は魔法陣を床に広げて、呪文を唱え始めた。



…………





な、何、やってるの?


野沢が唱える、呪文は聞いているとおぞましく、背筋に寒気が走っる。そして、野沢が呪文を唱え終わると……。
――瞬間、魔法陣が光った。
あまりにも眩しく目を閉じる。野沢はチカチカする目を開けた。目を開けると魔法陣の上に綺麗な女の人が立っていた。
野沢と女の人と目が合った。その人は野沢に気づいて話し出した。



君が私を召喚したのかい?





そうだけど





そうか、君が……





ありがとう、ようやく出られたよ





あの、あなたが願いの神、ですか





……そうだね。そう呼ばれてた頃もあったかな


彼女は自分のことを願いの神と認めて、懐かしそうに答えていた。



ちょと待って、何なのそいつ





どっから現われたの?





……


周りに居た彼女達は怯えていた。どうして怖がっているの? 全く意味が分からない。願いの神は僕の願いを叶えてくれる。お父さんがくれた贈り物だから……。
