


惑星『マルク』か……


神様のミライからこの世界について色々教えてもらえた。
難しい単語が多かったが、この話を俺に伝えたのは、何かしら意図があるのだろう。



地球もマルクに負けてないぜ





ええ、ワタシ地球も気に入ってるわ!





だろ?





戦争だけは気に入らないけどね





うっ!





ハハハ! まあいつか無くなるわよ!


……。



じゃ、そろそろ





そうね、時間を取らせて悪かったわ





全くだぜ、この後いくらでも話せるのによ!





アハハ!


そうだ。
この世界のことでもう少し聞きたいことがあったが、まずはマチを地球へ送る事が先だ。
……。
これで本当にお別れなんだな……。



あの、神様!





何よ? 改まって





マチちゃんには黙っててくれないすか? 一緒に行けないって伝えたら『残る』って言いそうだし





うん、安心して。 一瞬で向こうに送るから、別れを告げる暇もないわ





それはよかった





じゃあ、頼む!





ええ……





?





ではノトくん、目を閉じてくれる?





お……、おう





こ、こうか?


「ええ、そうよ。そのままワタシの言葉を聞いて」
「ねぇ……」
「ん? なんだミライちゃん」
「アンタあの赤髪のこと、どう思ってんのよ?」
「マチちゃん? すっげー優しい娘だと思うよ」
「優しい娘って……出会った時から?」
「そうだな、うん。昔のマチちゃんの記憶はなぜか曖昧なんだけど」
「ふーーーん」
「それがどうした?」
「その、す……き……なの?」
「え?」
「あ、いや! その……、どうなの?」
「うん、好きだよ」
「……。子供とかほしいの?」
「ぐへぇ! いきなりぶっ飛んでんな!」
「だって! 好きってことは、最終的にはそういうことでしょ!?」
「うんまあ、あれだ」
「?」
「今はただ、一緒にいたいって、本当にそう思うよ……」
「……。分かったわ、ありがとう」
「どういたしまして!」
「……さよなら」
なんだよ今の光は! くっそ眩しいし!
神様も芸が達者ですな。
いや、芸が細かいって言った方が良いか。



って……あれ?


目を覚ますと俺は見知らぬ病室にいた。
体の胸や足に無数の配線がつながれていて、まるで自分が改造されているような感覚になる。
なぜこんな所に……
「兄貴!」



ん?


今『兄貴』って言ったな。
確かに俺には『思春期真っ只中、金髪で超グれてる世界一可愛い弟』がいるが、あいつは現在、地球で亡き兄のことを想って真っ当に生きているはずだ。
そうだ。きっとそうだ。
まさか、弟まで転生してきてしまったのか。
じゃあマチの次はお前だ、弟よ。
すぐに神様に掛け合ってやるからな……。



兄貴!





おー、コウタか! よく来たな。早く髪を黒く染めろ





……





髪を―――で思い出したけど、今神様に会って来たぞ! お前は近づくなよー死んじゃうからな





ふー





なんだ腹式呼吸か? 数えてあげようか……1……2……3……





兄貴!ちょっと待っててな!


ガララッ!!



あ、ちょっと……、イテテ! か、体が思うように動かん


コウタは勢いよくドアを開け、走って出て行ってしまった。
遠くからだが『母さーん!』と叫んでいた気がする。
まったく、ここは病院だぞ、もうちょっと静かに……。
ん、病院……?



あー、そういうこと?


嘘だろ?
第二十章 終
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