本陣
本陣



殿、敵方に狼煙があがりました。攻め来るようです





いいだろう。ほら貝を吹け!正面から連中を迎え撃つ





鬼に個で挑むな!数で確実に討ち取れ!進軍じゃ!!





久しぶりの出番じゃ。暴れさせてくれよ





か、覚悟!





腰が引けておるぞ餓鬼が!





轟鬼よ、なかなか豪勢な馳走ではないか。これだけの人間が食われに来ておる





おしいのぅ餓鬼よ。これはまだ前菜よ





これよりは宴。招かれた以上は芸の一つもせねば場がしらけるというもの、儂らはまずお膳立てをせねばな





人間の絶望する面見れるなら大歓迎だ!しゃぶりつくすぞぉ!!





怯むな!鬼ごときに後れは取らぬ!人間の力を見よ!!





…………っ





……このまま、逃げてしまおうか





殿や竹内殿は確かにお優しい……だけど、久道様のように、私に敵意を持つ人間も当然いる。それは分かってたつもりだった





けど、それも甘かったんだ。さっきの高山殿の僕を見る目は侍の目ではなかった。立場上弱者を虐げて楽しむ外道の目だった





だったら、このまま逃げてしまった方が……





……戦が始まったのか?





本陣から兵がだいぶ離れてる……持ちこたえてはいるみたいだ





鬼の数もこちらと大差はなさそうだけど……ん?





鬼達の動き……おかしくないか? まるで、こちらの軍を本陣から引き離そうとしてるみたいだ……





…………様!!





えっ?





久道様!お戻りください!!





久道様…………?


