僕は道をがむしゃらに走っていた。
そう思いたかったけど、実際は「走って」はいなかったかもしれない。
だって



クソッ!!!!!


僕は道をがむしゃらに走っていた。
そう思いたかったけど、実際は「走って」はいなかったかもしれない。
だって



痛い……痛い……





すみません……でも、安全なところに出るまで我慢してください!!


彼女を背負っているから。
霊深度
-
00
四



通り――魔?!





みんな刺されて……逃げられたのは私だけかもしれない……





どんな見た目でした?





見た目……






フランケンシュタイン……





やっぱりあの男だ!





くそっ!!
なんでこんなに、誰もいないんだ……


ただでさえ不慣れな町。
交番の場所も分からない。
立ち止まるわけにもいかない。
僕はパニックになっていた。



えっ


その音に、僕は立ち止まる。
立ち止まらずにはいられない。



せっかく幸運だったのに、
見逃してやろうと思ったのに……


大きな、紫のハサミ。
刃先は、血を吸うように赤く染まっていて――



――バカだね?


