聞き慣れないメロディ。



♪~


聞き慣れないメロディ。



あれ……?


そのはずなのに。



涙……? 私……泣いてる?


どうして懐かしいのだろう。



だって、あたしが作った歌だから。
あなたの生まれる、ちょっと前にね。


いつの間にか、私は抱きしめられていた。小学生のものであるはずのその腕は、とても大きく、暖かかった。



正直、細かいことはあたしにもわかんないんだ。一生懸命だったから。気がついたらあたしは凜音だった。





……。





信じてくれる?





……でも……。


ふと彼女の右手が目に映った。みずみずしい手の甲には、微かではあるけれど、大きな傷痕が残っている。これだけの傷を負いながら、幼いはずの彼女は涙一つ見せなかった。



……その傷……。





ああ、これ?


言いながら、彼女は左手で傷を撫でる。



守りたかったの。そういうこと。





……あ……。


バランスを崩してよろめいたところに、ちょうど凜音ちゃんがいて、覆いかかるように倒れてしまった。
バランスを崩してよろめいた■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
バランスを崩してよろめいた私のことを、お母さんは、自分が傷を負うのも構わず、守ってくれていた。



……あ……うあ……。





ぅああああぁぁああぁあああぁ





……。


泣きじゃくる私を、お母さんは、ずっと抱きしめていた。
