小鳥の囀りが聞こえる。
陽光が差している。
心が洗われるような気分になる。
それはちょうど、初めてこの森に来た日のように。
小鳥の囀りが聞こえる。
陽光が差している。
心が洗われるような気分になる。
それはちょうど、初めてこの森に来た日のように。



長い夢から覚めたみたい。


ルルと出会ってから、別れるまでの毎日。
自分が試練の只中にあることも忘れて、サキはルルとの日常に夢中になっていたのだ。
思わずため息を吐いて、俯く。
すると、ふと足元の花が目に留まった。



ルル?





サキはもう、一人でもだいじょうぶ。


聞こえるはずのない声が、聞こえた。
ああ、そうだ。
ルルは死んだわけでも消えたわけでもない。
今、まさにサキを優しく包んでいる春風に、その姿を変えただけだ。



ありがとう、ルル


一族の村の、懐かしい人々の顔が浮かんでくる。
みんな、どうしているだろうか。
山を下りる足取りが、軽くなる。
ルルとの物語は、これで終わりだ。
