2話:デジタルとアナログと麺類



俺の名は一郎(イチロウ)、17歳。小学生の弟との二人兄弟だ。都内の公立高校に通う、学生。ごくごく平凡な高校生と言えよう。 ああ、俺のことは覚えなくていいぞ。なぜなら、





死んだからな!


ところが世の中捨てたもんじゃない。魂だけ転生した俺は、別人の体に乗り移ることで復活を果たした。

それがこれ。うむ。見知らぬ肉体とは言え、だんだん愛着が湧いてきたぞ。くりっとした瞳、愛くるしい頬。サラサラの髪。なんだ、天使か。



ナルシストにゃん。


だまらっしゃい。



陽太、どうしたの? まだ調子が悪いの?


おっと、この子を忘れる所だった。



(今までの行動から考えると、きっとこいつの姉なんだろう。そして、この子供の名前は陽太か。)





(俺の事がバレたら、魂が消えてしまう。ボロを出さないように、気をつけないとな。)





どうせすぐバレるよ。無駄な努力ニャン。





うるさいな、こっちは命かかってるんだ。あと、あんたこそ人前でしゃべってていいのか? 物珍しさに怖い人に連れてかれてサーカス工場に就職だ。おめでとう。





オイラの声? 心配なくていいよ。お兄さん以外には聞こえないようになってるから!





不公平感……!





そして、ということはですよ。さっきから俺は独り言いう寂しいやつに見えるってことじゃん……泣けてくるね。





ブツブツ言ってどうしたの。





陽太……大きな事故にあって、一時は意識不明の重体になって……だめかと思ったの。ほんとうに、よかった。





お姉ちゃん……心配かけて、ごめんなさい。





ううん、いいの……あのね、わたし陽太にお土産持ってきたんだ。


ゲーム機と、画集と、ラーメン(出来たて)



ややっこれはどうもどうも。





できたてラーメンが出てくるとは思わなかったわ……





さ、好きなの選んで。





わーい、どれにしようかな~





…………





(俺、こいつの好み知らねーじゃん)





(やっばーい、適当なの選んで怪しまれたらどうしよう。)





選んで。早く。





(ぐいぐい来る! わたし責められてる……!)





もしかして疑われてるのかニャン? ま、いいんじゃない? 一か八かで適当に答えてみれば? きっと当たると思うよお。外れたって、どうせ消滅するだけだしぃ。





そっか~! 粉々になるだけだもんな。よかった!





よくなぁい!





たかがちっちゃな魂じゃない。そんなにこだわってどうするの~?





はやく、選んで。選ばないとお姉ちゃん容赦しません。





ぬおお、きちゃまらーー! ぬぉ、お! のぉ……! 一瞬の逃げ場もなし!


うおおおおおおおやるしかない! でやああああああああ!!



カタカタペラペラズルズル~~~!





……!





ゲームしながら本読みながらラーメン食べてるニャン……





ぎゃはははこのゲーム面白い……ゴフッゴフッ熱っちぃ~~~





やるわね……


こうしてなんとかごまかし危機を乗り切った俺。このまま2日間、乗り切ってやる……ぜ……!



それにしてもこの子は、いったいどういうつもりなのかしらね……?


続く……
