小学四年生の時、授業参観で自分の将来の夢を発表するというものがあった。
みんな小学生ということもあり、内容としてはあまりに非現実だ。
『スーパーヒーロー』
『テレビゲームを作る人』
『ポ〇モン』
『大統領』
『猫ちゃん』
小学四年生の時、授業参観で自分の将来の夢を発表するというものがあった。
みんな小学生ということもあり、内容としてはあまりに非現実だ。
『スーパーヒーロー』
『テレビゲームを作る人』
『ポ〇モン』
『大統領』
『猫ちゃん』
次々に出てくる珍回答に親たちはクスクス笑っていたが、俺は一ミリも頬を緩めずに自分の番を待っていた。
俺は本気だった。
人を笑わすのは好きだが、別に面白い回答をしたい訳ではない。



みんな将来が楽しみですね!





じゃあ次は……
神谷ユウキくん!





はい!


ついにこの時が来た……
俺が将来なりたいもの、今この瞬間に……
あの娘に向けて全力で……!



神谷くん……、頑張って!





は!?





ひ、髭剃りです!!!!!





……





い、いや……
えっと……
これは間違えで……





クスクス





ど、どうだ!
大人でワイルドっしょ!
アハハはははははははははははははははハハハハハハハハハ母母歯母歯は母歯は母派


俺は本当に『髭剃り』なんかになりたかったのか?



は!





あ、目覚められましたね
気分は悪くないですか?





あ、ええ大丈夫です





俺、寝てたんすか?





俺が話をしている時に寝落ちとは良い度胸だな小僧!





まあまあグランド、彼はこの世界に来たばかりで疲れているのです





はあ……





ところでその・・・・・・、『髭剃り』とはなんでしょうか?





帰ります、さようなら





俺たち『男』には無くてはならないワイルドなアイテムですよ





ほうほう、つまりユウキさんはワイルドな男を目指していると?





あのー俺
寝言で何か言いましたかね?





『俺は髭剃りになる!』と……





もういいです、この世界の説明をお願いします





あ、そうですね
ではお教えいたしますね


①
まず、この世界に『ルール(規則)』というものは存在しません。
皆自由に生き、人生を応謳歌しています。



これでよく国が繁栄してるよね





それでも皆さんは国のために一生懸命働いてくれていますね





ただ単純に『誰かに美味しい食べ物を食べさせたい』とか『国の繁栄に貢献したい』と、そういう善の心だけでこの国は廻っているんだ





人の心ね……


②
この世界の空気を吸い続けているとある『能力』が覚醒します。



の、能力……?





私たち元々の住人は当たり前に使える『能力』ですが、別の世界から来られた方々も徐々に覚醒されているようです





例えば私は、『時を操る力』がありますね





さらっといきなりチート来たなこれ
反則っしょ





別に何かと戦う訳ではないですからね、昔は竜(ドラゴン)とかもいたのですが……





いたのですが?





姫様と我々『四賢人』の力で一掃した





姫様だけで余裕っしょ……





四賢人って?





四賢人については自分で調べろ、長くなるからな





そして最後にこちら!


③
自分だけの『通り名』を手に入れよう!



通り名?





最近は特にそうだが、この世界の住人はやたら強い能力者や活躍する者に『通り名』をつけて格付けをしようとするんだ





もうこれ、この世界の文化よね





例えば?





私の『姫』とか





我ら『四賢人』もそうだ





やっぱり人間って格差社会が好きなんだな……


第二章 終

なりたいものを、ひげ剃りと答えたセンスとその後の言い訳が流石でした(笑)
言い間違えたとしても、あんなフォローは出ないです(^^;