そんな風に優咲は切り出した。



私は・・・色んな人に迷惑を掛けてしまうんです


そんな風に優咲は切り出した。



家族にもクラスメイトにも・・・・・・。本当はそんなの嫌なのに





・・・・・・・・・・


優咲の話に少年は黙って耳を傾ける。



だから私さえ居なくなれば・・・誰にも迷惑なんて掛からないと思っていて・・・・・・。だけど死ぬのは怖いという気持ちがあったから・・・何も出来ないでいました。
そんな時、生まれ変わったら何になりたいかという質問事項を目にしたんです





質問事項?


そこで初めて少年が口を挟む。
不思議そうな問い掛けに優咲は説明を始めた。



はい、私は今年で中学3年生なので・・・高校受験の面接に向けて配られた紙にそんな質問がありました


そう言えば彼は目を細め、懐かしそうに呟く。



ああ・・・懐かしいなぁ。僕もやった記憶があるよ。
何でこんな事を訊かれるのかなって不思議に思いながらも何だかんだ質問を埋めたんだ





そうだったんですか?





うん、君もそうやって書いていったんじゃないの?





いえ、私は・・・高校受験をするつもりは無くて。
だから埋めたのもその一項目だけでした


優咲の答えに彼は不思議そうに問い掛ける。



高校受験をするつもりも無いなら必要なさそうだけど・・・質問に答えたの?





はい・・・悩んでいたからでしょうか。何だかとてもその質問に惹かれた、と言うか・・・良くわからないんですけど書かなきゃいけない気がして・・・何言ってるんでしょうね、私


言いながら優咲も自分が何を言いたいのか良くわからなくなってくる。
困ってしまう優咲に対し少年は・・・・・・



ううん・・・言ってる事はわかるよ。
そういう事ってあると思う。何かわからないけどやらなければいけないと思わされる事。
それが君の場合はその質問の答えを記入する事だったんだね


そんなように言った。



・・・はい


頷く優咲に彼が再び問い掛けて来る。



・・・君はそれに何て書いたの?





・・・・・・・・・・


優咲はその言葉に少し沈黙し、それから答えた。



・・・『私以外になりたい』と書きました





・・・そっか





そう書いた時、生まれ変わって私以外になれるなら死ぬという事は幸せになれる事だと・・・そう考えるようになりました


優咲の言葉に彼は悲しそうな表情をする。



それで君は死にたい、って強く思うようになったんだね・・・・・・





・・・はい


切なげな彼の口調が優咲に苦しい気持ちを思い出させた。
泣きそうになりながらもどうにかそれを堪えていると少年の手がそっと優咲の方に伸びて来た。
肩に回った手が守るように優咲を包む。



・・・辛かったね


優しい声が涙腺を刺激する。
生者でない彼の体温は冷たかったけれど、その言葉は暖かかった。
堰を切ったように涙が溢れ出し、止まらなくなる。



う、うぅ・・・ほんどは・・・ずっどづらかったんです


震える声で言いながら子供のように泣きじゃくる優咲の背を・・・優しい手が宥めるように叩く。



わだしは要らない子なんだって・・・何で生きてるのかってずっと考えて、でも誰にも言えなくて・・・・・・





うん・・・そうだね・・・ずっと一人で悩んでたんだもんね


優しい相槌が更に涙腺を刺激した。
そうして優咲が泣き止むまで・・・ずっと彼はそうしてくれていた。
to be continued
