ねーねー、おとーさん

うん？どうかしたかい？

わたしには、おかーさんはいないの？

…………急にどうしてそんなこと聞くんだい？

エリちゃんがいってたの。わたしたちには、おとーさんとおかーさんがいるのがふつーなんだって

そう、だな。確かにそれが普通かもな

じゃあ、やっぱりわたしのいえはふつーじゃないの？

…………

……いや、普通だよ。お母さんはね、出かけて行っちゃったんだ

ほんと？いつかえってくる？

それは……分からない。とっても遠くに行っちゃったからね。父さんも見当もつかないや

……おかーさんにあいたいな

…………ごめんな

お母さんが帰ってくるまで、お父さんがお母さんの分までいっぱい愛してやるからな

そうだ王都に行こう、ということで！！

待て待て待て

なんでそんなローカルなネタばかり知ってるわけ？

生前の記憶が、こう、刺激されるというか

あれ？あなたも転生したくちですか？

……さぁ？私はただの通りすがりの山姥ですが？

……なんで誤魔化すんすか

らっしゃい！美味しいハム安くしてるよ！

こちらは丈夫で硬い石ですよ～。漬物石にいかがでしょうか～

結構にぎやかだな

王都ですから。これくらい普通だと思いますよ？あなたの世界も、こんな感じではありませんでしたか？

いやぁ、どうだろ。首都圏にはあまり行ったことないけど、こことは比べ物にならないくらい皆忙しかったと思う

それは悲しいですね。私達が生きれる時間が限られてるからこそ、こうした時間を大事にすべきだと思うんですが

多分考えが逆なんだよ。というか、誰もそんなこと考えてない。今生きることに必死でその後とか余生とか頭の片隅にも置く隙間ないんだよ……きっと

…………寂しい限りですね

はーい、そこのお兄さん

俺……ですか？

そうよ、お兄さん。おばあちゃんとお散歩デスか？偉いデスね～

誰が偏屈ババアですか！！

誰もそんなこと言ってねえよ！！

おー、ソーリー！失礼なこと言っちゃったみたいデスねー！

これは、お詫びとサービスデスよー。

サービスで出す品じゃなくね？

くるしゅうあい！！

ご満悦っすねこの山姥

おーいー食べっぷりデスねー！うちの自慢の……

ドロネギ丼はいかがデスか！？

ネギトロ丼な！！