赤ずきんが俺を呼んでいる。
こういった場合は、彼女のレジに人が並んでいる場合はレジ、彼女のレジに人が並んでいない場合はお手洗いだ。今回はレジ周りに人がいないので、お手洗いだな。俺は急いでレジに入り、立てていたかごを目の前に置いた。



狼さーん!!


赤ずきんが俺を呼んでいる。
こういった場合は、彼女のレジに人が並んでいる場合はレジ、彼女のレジに人が並んでいない場合はお手洗いだ。今回はレジ周りに人がいないので、お手洗いだな。俺は急いでレジに入り、立てていたかごを目の前に置いた。
すると予想通り、赤ずきんはお手洗いの方向へと走り出していった。



トイレの掃除ってダルくないっスか?





俺は家でもトイレ掃除してるから……





狼さんは何時も察しが早くて助かるよ~前はなかなか大変だったから





と言うと?





う~ん、レジって結構大変でしょ? だから、お手洗い行こうと思ったら露骨に嫌そうな顔されたりしたんだ





そりゃあ大変だな……





あ、お客様だ、それじゃあまた後でね


赤ずきんは俺に手を振ると、レジの方へと去っていった。
翌日、再度赤ずきんに呼ばれた。今回もレジ周りに人は無し、と言うことでかごを目の前に置いた。
赤ずきんは可憐に両手を合わせ、ウインクをして去っていこうとする。が……。



いや、ちょっと並んでるんだけど





えっと、あちらのレジに……





良いじゃん、やってよ


お手洗いに行きたい人に対してこの仕打ち。何て失礼な狼だ……と言いたいところだが、どうやらそれには気づいていないらしい。
心配になって赤ずきんの方を見ると――。



大変お待たせいたしました!!


と、頭を下げ、急いで接客をしていたから、凄く偉い子だと改めて感じた。
狼の接客を終え、お手洗いから戻って来た赤ずきんの表所は、苦笑混じりだった。



まさか、お客様にまで露骨に嫌そうな顔されるとはなぁ





全くだな





あの人、いっつも私がお手洗い行くタイミングで来るんだよねー困っちゃう





じゃあ、お手洗い行くタイミングずらしたら?





……成程ね!!


今思えば、あの狼は赤ずきんに会いたくて来ているのかなと思った。こうして彼女の近くで働いている、俺のように。



……今日も可愛かったな、赤ずきん


