声の大きいカップルが一組。友達連れもそうだが、数が集まれば集まるだけ、こういった人々は声も大きい。
しかもあの彼氏、さっきからちょっと気が大きいと言うか。さっきも、品出しをしていた俺のところへ来て



この時間に来て良かったね、半額ばっかだよ!





馬鹿、大声出すなよ、恥ずかしいだろ? それに、こんなもんたまたまだよ、たまたま


声の大きいカップルが一組。友達連れもそうだが、数が集まれば集まるだけ、こういった人々は声も大きい。
しかもあの彼氏、さっきからちょっと気が大きいと言うか。さっきも、品出しをしていた俺のところへ来て



退けよ


……って言われたしな。
まるで、昔妙なノリで彼女の前で調子乗って悪した俺みたいで見ていて恥ずかしい。
ちなみに、彼女と別れた今は更生して、結局今に至っている。今も、悪かった頃の噂は拭えていないけどな。



……へっくちゅ!!





風邪スか?





あ、カップルが赤ずきんのとこに行った





いらっしゃませー!!





早くしろよ


うわ、感じ悪い。これにはさすがの彼女も苦笑いしているな。これに対し赤ずきんは、怯むことなく何時もの笑顔を見せる。



かしこまりましたー!!


彼の注文通り素早く、多くの半額商品を打っていく赤ずきん。それにも関わらず、赤ずきんは彼に話しかけていた。



お客様、何時も当店をご利用頂き有難う御座います!





え? よく来てるの?





はっ!? 勘違いじゃねぇの?





いえ、普段ジャージとサングラスをかけていらっしゃってるお客様ですよね? 何時もこの時間にいらしてますから、覚えてますよ





いつも? この時間に? ……ジャージとサングラスで……?





そ、そんな訳ないだろ!? テメェいい加減なこと言ってると承知しねぇぞ


あ、あの人いつも半額買ってく気の弱そうな青年だったのか。
……良いぞ赤ずきん。そのまま彼にトドメを刺してやれ!!



そうなんですか? それは失礼致しました。けど……





あのお客様、謙虚で優しくて、私は好きだったな





……





……ふふっ。きっと私も好きだろうな、その人





……か、帰るぞ





うん!


そう言うと、彼は強引に商品の入ったレジ袋を持ち上げ、逃げるように去っていった。
……帰ったら泣くだろうな、彼。
