赤毛は黙ってランデブーを見つめている
おばさんは黙って赤毛の事を見つめていた



………なに…何するんですか?





…いい加減にしろ





は?





お前はいつまで傷ついているつもりだ





…傷つく?私は傷ついてなんかないですよ?





嘘もいつまでついているつもりだ…





さっきから何を言ってるんですか?





スズナ…お前が過去に辛い経験をしたのは分かったよ。だけどな、その事をお前はいつまで引きずっているつもりだ?


赤毛は黙ってランデブーを見つめている
おばさんは黙って赤毛の事を見つめていた



いいか、スズナ。今、お前の周りには、お前の事をいじめようとする連中はいるのか?傷つけようとする連中はいるのか?


その問いに対して赤毛は私の事を指さしてきた



夢のお前に対する態度が、そう思えるのなら、それはお前自身の接し方にも問題があったからだ





私の接し方?





そうだ。初対面の時から感じていたが、お前は常に人が傷つく言葉しか言わない。いいか、スズナ?自分が過去に傷ついたからといって、それでお前が人を傷つけていい理由にはならないんだよ





そんなの綺麗事ですよ。それに私がどんな発言したって私の自由じゃないですか?先生にとやかく言われる理由はない筈です





理由か……俺は、ただ自分の言葉でお前自身が傷ついていくのを見たくないだけなんだ





私自身の…言葉で?





そうだ。現にお前は今日、自分で命を絶とうとしただろ?そうなって原因は他でもないお前自身の発言の所為じゃないか





………





最初からお前の事を悪く言っていた奴は、ここにいるのか?違うだろ?お前が周りの連中を否定していったからだ。その結果、お前は自殺をしようとした





結局は私一人が全部悪いって言いたいんですね





全部じゃない。俺達の言動にも原因はあった筈だ。だからあの場にいた全員を連れて来たんだ





私は悪いとは思って…


むぐ



ソノ、今は黙ってなさい





…………





スズナ。もういいだろう?お前はとっくに分かっている筈だ。今、お前は過去に自分をいじめていた連中と同じように誰かを傷つけようとしている事をな





………





だけどな、スズナ?お前が連中と違うのは自分の発言に傷ついている事だよ?お前は人の痛み、人が傷つく事を理解できるからだ。それはいじめられた経験があったからじゃない。お前がもともと優しいからだよ。優しいから、今の自分に苦しんでイライラして、その結果自分を傷つけて、最後には死を選択しようとする





私は優しくなんてないです。苦しんでもない…





お前…本当にいい加減に…





…人を傷つけてきて、人を刺した事もある人間を……それでも先生は優しいって思うんですね?





思うさ。本当に酷い奴は自分から死ぬなんて選択を絶対にしないからな…優しい人間は人一倍傷つく、過去の経験から苦しんでいるお前が優しくないわけない。根はいい奴に決まってる





………





それにな、スズナ?最初にもいったがお前は中学生だ。若すぎるくらい若いんだ…人生なんてこれからいくらでも良くしていける。過去なんてクソくらえだ、だからスズナ?これからは誰かとガッツリ関わって生きてみたらどうだ?





今更ですよ。それに私と関わりたい人間なんていません。それは今の結果が物語ってます





ぷっ…





…………





はははははははははっっ!!!!!





………





なーに言ってんだ。スズナ、ここにお前とガッツリ関わってくれる奴がいるじゃないか?


おばさんの事かなって私が思っていると



え?





ほら、ここにお前と出会った瞬間から今までの短い期間で、常にガッツリ関わってくれてる奴がいるぞ?


と。
教師ランデブーは私の肩に手を置きながらとびきりの笑顔を赤毛に向けていた



は?





は?


想えば、これが私と赤毛こと赤蘭スズナが初めて気が合った瞬間だったんだ
本当に不快な瞬間だった…
