数日後。
エドワード主催の城でのパーティーも無事に終わり、今日は焔たちがヤマトに発つ日。
数日後。
エドワード主催の城でのパーティーも無事に終わり、今日は焔たちがヤマトに発つ日。



この度はお世話になりました


丁寧に汐音が頭を下げる。



汐音…………私はいつでもお前を歓迎する


エドワードは汐音の髪に口づけをしながら微笑んだ。



さりげなくナンパするな





仲が良いのですね





賢者様の姿を見失ったときは焦りました





汐音以外の従者が来ているとは思わなかったぞ





エドワード殿下とご一緒にイルミネーションを見ていたとは。賢者様とエドワード殿下は仲がよろしいのですね





二人きりで見たのではない。汐音も一緒だ





私は空気でしたよ。お二人ともお酒を飲んで、仲良くお二人で酔いつぶれていましたよね





それについては、汐音に迷惑をかけたな


汐音にキスをした後、どうしようもなく酔いたくなって酒を飲んでしまった。
エドワードも賛同してしまった以上、汐音に止める権限はない。



エドワード様の従者も近くに居たので良かったです。焔様がエドワード様を酔い潰すなんてことになれば国家問題ですから





城を抜け出したのは私だ。こっちが悪かった気がする。どちらにしても国家問題に発展しかねない





賢者様、そろそろ船がでます


従者が声をかける、いよいよエドワードの別れだ。



……来年も来る


振り返り、エドワードに微笑みかけたのは焔だった。



おう





待っているさ。来年のノエルの奇跡では……お前が私のものになることを願おう


エドワードは視線だけ汐音に向けて、小声で告げる。



私は焔様の従者ですよ





そうだったな……だけど、辛くなったらおいで。汐音を幸せにする自信はあるからさ





!


エドワードが耳元で囁いた言葉は汐音にしか聞こえなかったらしい。トンっと肩を押されて船に乗る。



何、言われた?





いえ……


横目で見る焔の視線から逃れるように汐音は首を横に振った。



知ってますよ。エドワード様、焔の側にいても幸せになれないことぐらい


彼は賢者様。王様と同じか、それ以上に崇められるべき存在。
自分はその従者。主を護って死んだとしても問題のない、使い捨ての道具。
身分の差がありすぎる。



それでも彼が望む限り、私は彼と共に在ります





汐音、命令だよ。膝をかせ





寒いんだ、人肌が恋しい





え?


焔は寝ることに決めた。承諾なんて必要ない。当然のように寝る。
こうして彼女の膝で寝られるのも長旅だから出来ることだ。
