轟鬼

朝早くに到着とは、相変わらず賢しいことよな

轟鬼

災禍

災禍

敵が一番油断するのは夜を過ぎた朝方。夜を越して緊張が解けた瞬間よ。知っておけば私が来る時間は知れたはず

災禍

相も変わらず嘆かわしい頭よな、轟鬼の爺

轟鬼

……ふん

千狸

災禍様、鬼の長にあたる轟鬼殿に対して言葉が過ぎまする。下手に敵を作るものではありませぬ

災禍

なあに、同族同士の諍いほど楽しいものはない。疑心暗鬼に陥った奴らを騙し転がすのはたまらんからな

災禍

まあ、今は人間の嘆くさまを見れるのだ。鬼の泣き面はまたの機会にしておこう

轟鬼

……相も変わらず殴りたくなるわ、あの餓鬼が

千狸

お控えなされませ。状況を打破するために我らが寄越されたのはご存じのはず。戦の勝利によってもたらされる平和を想えば、災禍様の小言などあまりに小さいと拝察しますが?

轟鬼

そして相も変わらず口が回りよるわ、狸が

轟鬼

餓鬼の子守はよほど骨が折れると見えるな?昔はそれほど舌は回らなかったはずじゃが

千狸

既に朝の霧に乗じて、我らの手の者が人間軍に潜り込んでおります。合図があれば、いつでも災禍様の策謀をお目にかけましょう

轟鬼

…………相も変わらず、人の話を聞きやしない。なんとも腹の立つ餓鬼どもじゃ

千狸

まぁそう仰らず。災禍様が来られて、鬼達に損はないはずですが

轟鬼

……期待してよいのじゃな?

千狸

無論

災禍

邪魔をするぞ

覚

災禍!?

災禍

ほう、軍師はお前か、覚。どうりでぬるいと思っておった

覚

おーおー着いたばかりなのに随分と口がお達者で。さすが災禍様は弁が立ちますねー

覚

何しに来やがった

災禍

援軍に決まっておろう?

覚

ただの援軍なら新手の軍師なんて着たりしねえさ。しかもお前みたいな奴なんかが。

災禍

簡単だ。我らの山も、人間に囲まれてばかりの貴様らに思う所がある。いち早い戦況の打開を目指すべく――

覚

その原因である無能な軍師を引きずりおろして、主導権握ろうってか?

災禍

なんなら、サトリの力で覗いてみたらどうだ?

覚

…………いや、遠慮しとく

災禍

ならばいい。次の戦の指揮は私が執る。口出しは許さぬぞ

覚

…………りょーかい

覚様、お疲れ様です

覚

……ああ

ひどくお疲れのようですが……何用かございましたか?

覚

…………楓はいるか?

楓

はい、ここに

覚

…………

覚

……っはぁ~~

覚様?

覚

楓、出陣のお達しだ

楓

えっ――――?