俺は薄暗い中、天井を見つめていた。
眠れない。
ここはヨルダさんらに連れてこられた、役所の中の休憩室のようなところだ。《赤い霧》が近づくまで、戦う者は交代で仮眠をとっているらしく俺の周りにも何人かの気配がしている。
寝た方がいいと言われ、現に今ベッドの上にいるのだが



はぁ。


俺は薄暗い中、天井を見つめていた。
眠れない。
ここはヨルダさんらに連れてこられた、役所の中の休憩室のようなところだ。《赤い霧》が近づくまで、戦う者は交代で仮眠をとっているらしく俺の周りにも何人かの気配がしている。
寝た方がいいと言われ、現に今ベッドの上にいるのだが



… 考えることが多すぎるって


まだこっちの世界に来て2日しか経っていないはずなのに
帰る方法、勇者の話、ここで生きていく術、《赤い霧》
心配事が多すぎるっ!



何もわからない様はまるで赤ん坊、いや何も考えずに眠ることも出来ないから赤ん坊以下か…


深いため息をついた俺だったが



リンファちゃん達は無事だろうか?


ふとその事が頭をよぎり、眠れないついでに会いに行こうと身体を起こした時。
新しい環境下での生活から来た疲労からか、鮮明な意識とは裏腹に身体が限界を迎え
気絶する様に俺は眠りについた。
気が付くとそこは暗闇だった。
覚めたと思ってもまだ夢の中らしい。



結局寝ちまったけど…もっと深く眠りたかったよ。


ぶつぶつ文句を言いながら俺は出口を求めて歩いた。周りは完全な闇。まるで小さく真っ暗なエレベーターに閉じ込められたようで寒気がした。



くそっ…


あるのは自分の足元の硬い地面だけ。地面かどうかも、何処まで続いているのかも分からないが歩き続けた。
と
俺はコケた。
手を付いて立ち上がろうとすると、ぐにゃり。そこにあったのは地面でもなんでも無かった。唯の闇だった。



なんで


腕は闇に飲み込まれ



くっ


力を込めた足は沈み



ひっ!


眼前には深い深い闇



たすけ


闇の中に声がこだまして
消えた。
異世界陰陽録
第一章 始まりは突然に



続きが…気になる?
そんな人は後で公開されるあとがきを見るといいかも。


