


…………





…………





さ、榊将軍の剣が弾き飛ばされた……





そんな……バカな…………





ま、まだです!将軍にはまだ妖術がある!!勝負はまだついていません!!





兵はああ言っているが、どうする?





決まっているさ





俺の負けだ。ソール





良かったな、水男殿……





そんな……榊将軍が負けるだなんて……





しかし、将軍のあのような清々しそうなお顔、初めて見たかもしれん……





…………良かった





ソール、お前には本当に迷惑をかけた。改めて礼を言おう





……別に構わないさ。お前が絆より使命を選ばないでくれて、ホッとしている





……そうだな。俺はもう少しで大事な友を捨てるところだったのか。自分でしたことながら恐ろしい……





負けなど許さぬよ、十四郎?





っ!





この声は……!





どうも、この声こそがセヘルである





セヘル様!いつからそこに……?





此度の戦はこの神も参陣すると言ったではないか。聞き流されると泣いちゃうよ?





まぁ、準備に時間がかかったことは認めるが





あれは、王都で見たロリコン神!?





神様難しい言葉分かんにゃい





何がにゃいだ!!





セヘル様……





十四郎よ、将軍とは十国の人々の象徴である。将軍とは無敗であって当然のもの。辛勝はおろか敗北を喫すなどあってはならぬこと





故に、この神は「神罰」を発動する





神罰?





…………





神罰…………!





神罰とは……!セヘル様、どうかお慈悲を!十四郎様は今失うわけにはまいりませぬ!!





ならぬ。榊十四郎の敗北は歴代将軍への無礼、十国の歴史の汚点となる。この神は穢れは嫌いだ





汚れは早急に落とさないとこびりついてしまう故にな





……おい、そこのロリコン





神様難しい言葉わかん――――





人の親友を汚物扱いするな!!





水男殿!!





ソール、よせ!!





消滅せよ、フラム・オラージュ!!





やれやれ……





がはっ!!





水男殿!!





なんという量の吐血だ…………





セヘル様!彼は……彼には何の罪もないはず!!どうかお慈悲を……!!





お前は相変わらず甘いのぅ、十四郎。勿論許すわけにはいかんよ





十四郎が汚物ならば、その男は異物だ。この神は異物を食べて腹を壊したことがあってな、それ以来異物は徹底的に潰すことにしているのよ





それでも……セヘル様……どうかお慈悲を…………





榊将軍……





……そうさな、確かに神聖な神罰の前に胃を壊してはたまらんな





よかろう、この神は慈悲深い故な。この異物の処理は一度見合わせよう





明後日、広場にて神罰を執り行う。この神の兵は榊十四郎を連れて都まで帰還せよ





……神よ、お慈悲に感謝いたします





っ……十四郎…………!!





ソール、お前のことを俺は決して忘れない





今まで、ありがとう





…………っ!!





榊将軍……あの…………





…………ああ、行くぞ





…………っ





水男殿……





……だ、これは





えっ?





なんだ、これは!!!!





…………





こんなバカな話があるか!!ようやく……ようやく彼の本音を聞くことができて、ようやく彼を止めることができたというのに!何故、そこであんなロリコン神に彼を奪われなければならんのだ!!





教えろ古森!!神罰とはなんだ!?奴らは十四郎に何をするつもりだ!!





……神罰とは、神の御前で罪人を滅する行為だ。神立会いの下で処刑人が罪人の首を刎ねる…………





榊将軍は明後日、処刑される


