教室に着くと、俺と希以外の全員が教室に集まっていた。
教室に着くと、俺と希以外の全員が教室に集まっていた。



おお、やっと来たか。


信也が「よっ」と言って、俺に手を挙げ挨拶をした。



ああ、おはよう。授業は?


そう聞く俺に、被せるように瑞希が言ってきた。



「授業は?」 じゃないでしょ?
今日は依頼の日だから早く来いって言ってたよね?


瑞希は凄く怒っているようだ。



ああ、瑞希さん。この遅刻の原因は私にあってですね……。


希が説明しようとするも、瑞希の勢いに押されて、何も言えなくなってしまう。
一通り、俺達に怒った瑞希が少し落ち着いて、俺達に言ってきた。



いい? この際、遅刻の事はどうでも良いわ。
それ以上に、依頼人を待たせているの。
早く荷物置いて、準備してきて!





わかった。





ごめんなさい……。


瑞希にそう言われて、俺と希は慌てて教室を出た。



瑞希さん、怖いね。


希が、キレた瑞希に驚いている。



そうか?
まあ、いつものことだから。そのうち慣れるよ。
いつもと違うところは、俺を一発も殴らなかったところかな?


俺は希に笑って言う。



え? いつものことなの?





ああ、特に大金が絡んでくると、ああいう感じになる。





あははー。


どうやら、希にもなんとなくだが、瑞希の性格がわかるようだ。希は苦笑いをしている。
そうこうしている間に俺達は更衣室にたどり着いた。



じゃあ、俺はこっちで着替えるから、着替えたら、教室な


俺は、そう言って、希と別れた。
更衣室に入ると、無機質なコンクリートと天井に設置してある蛍光灯が、ロッカーと、更衣室中央にある青いベンチしかない更衣室を一層寂しく際立たせている。



そういえば、今回の希のポジションはどうなるんだ?


着替えながら、ふと、素朴な疑問が頭に浮かんだ。
教室に戻ると、既に戦闘装備に着替えた希が瑞希と何かを話していた。



悪いな。遅刻しちゃって。


俺は、皆に遅刻したことを謝った。



ああ、そのことはもう良いわ。今回の依頼の確認中だから、こっちに来て。


瑞希がこちらに手招きをする。さっきまであんなに怒っていたのが、嘘のように思える。



切り替え早いな。


俺は小声で言う。



聞こえてる。


瑞希がこちらを見ないで言う。
そして、机の上にB5サイズの地図を一枚出してきた。



いい?
今回の依頼は、エリア7の定期巡回よ?


瑞希が、机の上に広げた地図に赤ペンで場所を示す。



あれ? ここって……。


俺は、その場所を見て驚いた。
昨日、延期した依頼と目的地が違っていたからだ。



そう。 依頼場所が変更になったの。
他にも変わっているところはいくつかあるけれど、やることは変わらないわ。対象人物の護衛。依頼主も変わっていない。
場所は、本来なら学生が立ち寄れない、通称“灰の町”と呼ばれる場所よ。


瑞希が、真剣な表情で言う。



あ、あのー。
この場所って何ですか?


希が瑞希に聞く。



もしかして、あの事件を知らないのですか?


静香が驚きながら、瑞希に言う。



おいおい。マジかよ。


信也が苦笑いをする。



え? 有名な事件?
私、アメリカに居たから、あまりこういうこと知らなくて……。


希が慌てた様子で言う。



ああ、俺らが生まれた次の年、つまり、今から16年前のことだ。


そう言って俺は希に、町が突如として灰になる現象の話をした。



つまり、過去に六回の灰になる現象が続き、その原因が今でもわかっていないということね……。


希はそう言って少し考える。



え? どうして、そんなところに私たちが行くんですか?


希が1人驚く。



それが、私たちにもわからないの。


瑞希が言う。



そもそも、こういうことは、本来なら魔剣騎士(ブレイド・ナイト)の部隊がすることなんだけれども……。
今回は人手が足りないとかで、私たちも借り出されたという感じなんだけど……。


そう言って、瑞希は不に落ちない表情をしている



とにかく、今回の依頼、何かあるかもしれないから、各自、十分に気をつけるように。


「はい!」
そう言って、俺たちは、屋上にある魔導式小型飛行機へ向かった。
瑞希の表情に疑問もあるが、このチームなら何とかなるだろう。
