沈黙を破ったのはいつぞやのサルバーレの国王。その名前は、知らない。



久し振りだな少年よ。相変わらず意志の強い目だな


沈黙を破ったのはいつぞやのサルバーレの国王。その名前は、知らない。



イフリートは元気か? あいつとの決着はまだ着いていないんだが・・・今ここでどちらが上かをはっきりさせようと思ってな





やはりそうか。だがしかし、それならば何故他の国の王までも呼んだ? 彼らがいては、君には万に一つも勝ち目がないだろうに





っはは。他の奴らはついでだよ。精霊の塔を使う時のための保険だ。それに、七国の中でおっさんとイフリートが一番強いんだろ? だったら、残りの奴らは肩慣らしに丁度いいさ


そう嘯いて、俺は肩を回す。うん、軽い。すこぶる調子が良いようだ。



私は土の国バシスの国王です。あなたに恨みはありませんが、国王がプレイヤーと闘うのはこのゲームのルール。だから、全力をもって相手します






こいつは死の国インティムスの国王。そして俺が、雪の国レグヌムの国王。お前の発言は我ら国王への冒瀆・・・死を持って償え


続けて彼らは、唯一無二の彼らの名を各々に叫ぶ。



来て、ベガ!





お嬢。あなたとの約束は命がけで守る






もう伯爵。その体いい加減どうにかしましょうよ





ヤコン。出番だ





おやおや坊ちゃん。また今日もご機嫌斜めなのかい?





来い。イフリートよ。さて、あの少年はお前との再戦を希望だが、どうする?





決まってるだろ主様よ。俺たち聖人と闘えるプレイヤーなんてそういるもんじゃない。ここで楽しまなくてどーするよ


国王たちが呼び出した聖人を見て、俺はカティアが以前言っていた言葉を思い出す。



聖人と違って国王自体は力を持たない。まあ、だからこそ彼らは聖人を持つんだけどね





イフリートと闘った時に思ったんだが、聖人の中でも力に差があったりするのか





そうだね。基本、どの国から回ってもいいように、聖人の力は一定だ。プレイヤーが十人以上で戦ってようやく互角の強さ。だけど、サルバーレだけは最後に回った方がいい。あの国の聖人は、他の比じゃない





ふん。例えばそこに俺が十人いたとして、それでも歯が立たないのか?





いやいや。君なら波の聖人と三人もいれば互角に戦えそうだけどね!? でもまあ、うん。イフリートと闘うならそうにはいかない。あの聖人に勝つつもりなら、君レベルのプレイヤーなら——





単純に計算すればイフリート以外と戦うにしても圧倒的戦力不足・・・だが、それはあくまであの異空間での話し。さて、今の俺はどこまでやれるのか


そんなことを考えながら俺は雷撃の聖剣に手を掛ける。
イフリートは近くに岩にどっしりと腰を下ろしていた。どうやら予想通り見物役に徹するらしい。
奴と目が合う。キャラに似合わず、やんちゃな笑顔をこちらに向けてきた。俺はそれを鼻で笑い一瞥する。
聖剣を一気に抜く。勝負は既に始まっていた。



ほう。俺の斬撃を初手で受けきるか





殺気には敏感なものでね





良い反応だ。だが甘い。ヤコン





あいあ~い。轟け、青雷の礫





加勢しましょう! デーモンを召喚!!





この剣に雷魔法なんて、馬鹿かお前は。喰らえ!


ギャアアアアアアアアアアアオオウウゥ



わ、私のデーモンが!?





僕の雷を逆に利用されるとはね





その程度か・・・!?


ハートカウンターによる、
スキル獲得のお知らせ。
ペネトレイションスキル
『王の宣告』
自分の行動以外のすべての事柄に割り込むことが出来る。
割り込む事宣言するか念じる事で、攻撃等を割り込ませる事が出来る。
ただし、このスキルを連続して発動する事は出来ない。



? 動きが止まった。チャンスです!





だね。雪風の舞!!





輝星撃!





な!?





全ての攻撃を、跳ね返されたのかな?





——できるぞ。こいつは





良いスキルを手に入れた。こんなものをくれた読者ってのに、会って直接礼を言いたい気分だ。では、そろそろこっちからも行くぞ





ぬぬぬ。しょうがない。少し危険はあるけど、『必中の次元爆』を使おう。みんな、ここら一帯が巻き込まれるから、急いで防御の術を——





『幻魔槍』バルムンク!!





ぐっ。何故爆発が僕に・・・坊ちゃん、ごめんよ


※注:放ったグングニルの軌跡



グングニル・・・だと!? なぜお前が俺の宝具を!?





ふん。なるほど。『強奪』に漢字の違いは関係ないのか。ただの魔槍が宝具にまでなるとはな





ベガさん、どいて! もう一度デーモンを呼びます!『デーモン・・・





の王を召喚』





そんな。私のデーモンが・・・





やれ


グヲオオオオオオオオオオオオオオ!!



伯爵・・・すみません





あとはお前だけのようだぞ?





そんなこと、分かっているさっ!





人の宝具を好き勝手に・・・返してもらう!!





へ? まさか、宝具の一撃を掴んじゃうの?





これでようやく本領だ。行くぞ!





人間にしては中々やる





あんたも。想像にしては意外とやるね





心なしか、この戦いを楽しんでいる自分がいるようだ。いざ!!





そうか。それは本当に——気の毒だ





なんだ? 空間歪んだ?





これは!? 体が吸い込まれ・・・!?





やるじゃねーかあいつ。おっさん、この結果は予想通りか?





いや、まさか聖人三人でも敵わないとは思ってもいなかったよ。だが、お前とあの少年の再選を望んでいた自分がいるのも事実ではあるがな





・・・お嬢。申し訳ない・・・





俺だけの属性の一つ。次元属性の魔法だ。ディメンション・ホール。永遠に異次元の空間を彷徨い続けな


次元の割れ目に、ベガの体は吸い込まれていく。
その様を見届けて、腰を上げたイフリートに俺は言う。



待たせて悪いな。ウォーミングアップは終わったよ。では、決着をつけようか





気にしてねえよ。いい退屈しのぎの見世物にはなったさ。さて、その前に、勝者から何か一言頂くとしよう


だから、俺は大きく息を吸ってこう叫んだ。



お気に入りしてくれたみんな、ありがとう!!
コメント欄ってとこで、新スキル募集中だ。天才の俺にぴったりなスキルを、どうぞよろしく頼んだぜ!!



いつもご覧頂き、ありがとうございます。
1話ずつの人はお久しぶりです。一気読みの方は初めまして(*・ω・)*_ _)ペコリ
今回はちゃんとした戦闘シーンとなり、折角なのでストリエの特徴を活かしたいと思い、極力地の文を削りました。
臨場感を持たせたいと思っての試みですが、果たして読者の皆さんにはどの様に映ったのでしょうか(*´д`*)ドキドキ
それでは、物語も終わりに近付いて来ましたが、次の話しも読んでもらえることを願って、この辺りで失礼させて頂きます...♪*゚
お礼を言われるような人物では御座いません。何てったって、不幸ランダムも私が提案したのだからo(`ω´ )o(笑)
お気に入り25突破御目出度う御座いますm(_ _)mそして、スキル採用ありがとうございますm(_ _)m自分でも変なスキル提案したなぁと思っていたのですが(笑)
優利さん、いつもコメント感謝です...♪*゚
一真くんは、まさか今回のスキルの提案者が、不幸ランダムの時と同じとは思わないでしょうね(。-∀-)ニヒ♪