『アルティメットしりとり』を始めて早々、エリシアの心は折れかかっていた。取り敢えずその辺の大きな葉で身を隠しているが、その姿が逆に・・・何でもない。
『アルティメットしりとり』を始めて早々、エリシアの心は折れかかっていた。取り敢えずその辺の大きな葉で身を隠しているが、その姿が逆に・・・何でもない。



次は私の番や。行くよお兄やん


必死なところが見ていて可哀想だった。
次の文字は『く』。彼女は一体どうやってこの現状を打破するのだろうか。



クルミ!


何がしたいんだろうこいつは。叫んで、目の前に出現したクルミに我を忘れてむさぼり付いていた。



クルミクルミ、美味しいな


ゲームの趣旨を間違えていないだろうか。そういえば、細かなルールを聞いていなかったな。



なあエリシア。これどうやったら負けなんだ?





そういえば言ってなかったね。基本は『ん』が最後に付く言葉はダメ。ただし同じ単語を何度言ってもいいの。それから二十秒以内に次の言葉を言えなくても負けだよ。あ、ちなみに今十六秒だから





何だと!? なら「みかんゼリー」!


お。本当に出て来た。それに、案外現実世界の物よりも美味いかもしれない。



・・・(じゅるり)





やらないからな





くーっ。いいもん。全然羨ましくないから。「リンゴ」





うっひょ~! 美味しそう





ゴリラ





むしゃむしゃむしゃ





私のリンゴが—。「落花生」





バリバリバリ





こんのゴリラ――!!





しょうがないな。「いちご」





やった。「ゴリラ」





ウホっ、ウホっ、うほうほうほうh





これでもう恐れるものは何もなし!





それじゃあエリシア。遊びはここまでにして真面目に行こうか





やはり今までのは遊びだったというのね。よし、望むところ


このゲームの肝は、相手に言葉を出させないこと。いくら頑張っても、相手に『ん』が最後に付く言葉を言わせるのは難しい。
だけど、二十秒だけ話せない状況をつくるなら?



雷撃の剣


例えば、空気を無くす。それだけで言葉を発することはできなくなるだろう。



「銀貨」!(ぐへへへへ)





(欲にまみれた目をしてるな)「神宿しの腕輪」


例えば、この森を海に沈める。それだけで彼女は何も言えなくなるだろう。



「綿菓子」!(甘あま~)





(まだ食べるのか)「神葬のペンダント」


それが、勝利への最適解。必勝法と言ってもいい。



「トマトジュース」(ちゅー)





(ただの馬鹿だな)「朱雀の御神酒」


だから——



キャラメル・ラテ(きゃっほーい!!)





——悪いなエリシア


——そんなものに興味はなかった。



悪いって、何がやお兄やん





俺の目的はゲームクリア、つまりは神の撃破だ。正直、お前を倒す理由なんて俺にはないんだよ


だから、利用した。このお遊びも、あくまで神を倒すため。



けどなお兄やん。その神様の住む天空の城に行くには、七つの国の中心にある精霊の塔を使わないかん。その塔を使うには、七人の王の協力が必須なんだよ





ああ、だからさ——


そんな事は、はなっから分かっていた。そして、それがどれだけ時間の掛かることかも。
だから、発想を逆転させた。



だから?





「天空の城」。むこうからこちらに出向いてもらおう


世界は再び白に染まる。
そして——
そして——
そして。
最終目的地である
『天空の城』は、
地上に姿を現した。



さて、殴り込みだ


