——モーヌスーン・占い館
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アンタたち、村長の息子にはもう会ったかい?





いいえ、まだ…





あれか?その村長の息子と結ばれたいってか?





もしかして、それ、あたしがってことかい?





誰があんなへたれ狼を好きになるかってんだ!!





へ・・・?じゃあ、誰が・・・?





シープラさ。


ニャルラさんの話によると、シープラさんは村長の息子ーールフさんに恋をしているそうだ。ニャルラさんから見てもなかなかいいカップルになりそうで、さらに・・・どうやら両思いなんだとか・・・。
しかし、どちらも互いの気持ちに気づくことはなく、ずっとウジウジしている様子を見せられイライラしていたらしい。それを、僕らになんとかしてほしいということらしけど・・・。



あの、それって、シルフは何かやったんですか?





あー、やったよ





なんか逆効果で決裂寸前までいったけど・・・





どんな提案したのよ・・・





男なら一発ヤr





ファントムショット!!!





何すんのさアルマ!!





シルフ、しばらく口だし禁止。いいね?





冗談だったのに・・・





言っていい冗談と悪い冗談があるでしょう?





はぁーいすいませんでしたー(棒)


いくら冗談だって・・・君がそれを言うと冗談に聞こえないから困るんだよ・・・



一発屋・・・?





ルナは知らなくていい世界だよ・・・





ええ何それ気になるじゃない・・・!





大人の男女のあれやこれってこったな!





はいはい自重しましょうねー(威圧)





まあ・・・それはあたしも考えたんだけどね?





アウトですよ!!!





あいつらはそれ以前の問題なのさ・・・





それ以前?





ああ・・・二人じゃお互いまともに話せん。





oh.....





そこからなのね・・・





まあとにかく・・・強制はしないさ。二人の状況を見て、できそうなら力を貸してほしい。


確かに・・・目の前でもどかしい状況をずっと見せられ続けたら辛いものがあるだろう・・・ちょっと手を貸すくらいなら・・・



わかりました。やるだけやってみます





おっ、本当かい!?ありがたいよ!!





目の前でそりゃあ長い間もどかしい状況を見させ続けられるのは、辛いものがありますからねー





・・・・・・あれ、もしかして僕のこと言ってる?





俺、お前ら以外にあんな初々しいカップル見たことないんだけど。





そんなにひどかったの・・・?





サイアク。





ご、ごめん・・・





と、とにかく・・・まずはその・・・ルフさん?に会ってみようか。





そうだな。基本は聞き込み♪





ルフさんとこいくのか?なら案内するぜ!





そうだね・・・頼めるかい?





任しとけ!





面倒なこと頼んですまないね・・・じゃ、頼んだよ。





はい!任せてください!!


僕たちは占い館から出て、村長の家へ向かった。大概ここにいるということだが、果たして・・・?



ルフさーん、いますかー!


少しの沈黙の後、家の戸がゆっくり開かれた。狼の耳をはやした、優しそうな青年が顔を覗かせる。



ん、シルフか。どうした?





あとは・・・?





前に言った俺の友達と、そのお仲間さん!旅してるらしいです!





そっか、みつかったのか。良かったな。





はい!





ところで・・・その後どうですか?





・・・・・・・・・・・・・・・





あー・・・はい。把握です。





とまあ・・・こんな感じだ。





んー、こりゃまた・・・なんつーか・・・





難しそうだね





・・・まさか、また話広がってるのか・・・?





そうですね。ルフさんがいつまで経っても告らないから・・・





マジか・・・





話せないって言うから、口べたなのかと思ったけど・・・そういうことじゃないのね。





んー、そうなんだよなぁ・・・俺たちとは平気なんだけど、シープラさんとだと・・・





あっ、ルフくん~!ちょうど良いところにぃ~!


ちょうど良いことに、当の本人が来てくれた。が、ルフさんは喜ぶでもなく笑顔になるわけでもなく・・・なぜか眼光をすぼめ、目つきが鋭くなった・・・。



あ?なんだ、のろま羊。またくだらない失敗でもやらかしたのか?





・・・へ?





る、ルフさん・・・?





あー・・・そういうこと。





ああ・・・そういうことなんだ。





あー、みんなもいたんですねぇ。





探しものは見つかりましたかぁ?





はい・・・一応は。





わぁ~、良かったですぅ~!





おい、俺も忙しいんだよ。用があるなら早く言え。





はわわぁ、ごめんねぇ・・・





あのねぇ、狐の子がぁ、ボールを木に引っかけちゃったんだってぇ。だからぁ、取ってほしいのぉ。





そんだけか・・・ったく。それ言うだけでどんだけ時間取ってるんだ・・・





取っといてやるから早く失せろ。お前が視界に入るとイライラするんだ。





うん!わかったぁ~!
それじゃあ、よろしくねぇ。





ふん、足下気をつけて帰れよ。何もないところで転ぶんだから・・・





えへへ~、うん、きをつけるねぇ~。


シープラさんはそのまま何事もなかったかのように去って行った・・・シープラさんの姿が見えなくなると、ルフさんはその場に頭を抱えて座り込んだ。



うわああああまたやっちまったあああああ!!!!!!





・・・もしかして、しゃべれなくなるって・・・





極度の照れと緊張で、相手にひどく当たっちまうってことか・・・





そういうことなんだよ・・・





こんなんじゃダメだってことはわかってるんだ・・・なのに、シープラがいざ目の前に来るとどうしても・・・ああもう死にたい・・・





し、死んじゃダメよ!!





いや、もう駄目だ・・・今度こそ絶対嫌われた・・・今までは良かったけど今度こそは・・・!!





ほら落ち着いてください・・・しんこきゅーしんこきゅー





すー、はー、すー、はー・・・うう・・・落ち着いた・・・





とりあえず・・・ボール取りにいてやったらどうだ?何かすればリフレッシュして、冷静になれるだろうし。





ああ・・・はい・・・そうします・・・


これはかなり重傷だな・・・でも、何かきっかけがあれば・・・



どうだ、アルマ。なんとかなりそうか?





・・・・・・・・・





ルフさん。シープラさんのこと、本当に好きですか?





は・・・?ああ、好きだ・・・じゃなかったらこんなに後悔してない・・・





・・・・・・・・・





なら、大丈夫です!





は・・・?





次会ったら、告白しちゃいましょう!それが一番です!





は・・・はああああ!?





ちょ、アルマ!?それができないからルフさんは・・・





アルマのことだ、なんか策があんだろ!心配ねえって!





え・・・ええ・・・?


こういうのは、勇気を出して伝えちゃうのが一番!僕はうろたえるルフさんの手を握り、笑顔で頷いたーー。
