梅雨時期の雨は突然降りだした。
折りたたみ傘を家に忘れ、仕方なく目に入った喫茶店でやり過ごすことにした。
梅雨時期の雨は突然降りだした。
折りたたみ傘を家に忘れ、仕方なく目に入った喫茶店でやり過ごすことにした。



まさか、こんなになるなんて……
まさに、バケツをひっくり返したような雨だな。


中に入ると店主が新聞を読んでいた。
小洒落た室内には人影はなく。
僕は何気なしに窓際の席を選んだ。
すると、店主はタオルを差し出した



あ……ありがとうございます。
えっと、ホットコーヒーをお願いします。


そう言うと、何も言わず奥へ入っていった。



なんか、やな気分だな……


ぼーっと外を見ていた。
振り続ける雨を……何も考えずに……
ただただ、ひたすらに降る雨を眺めていた。
ガラスに流れる雨はなぜか、目を引いて仕方なかった。
そんな時間を割く一言
「相席は良いかしら?」



……え?





声の認識に遅れ、振り向くと
学生服姿の女性が立っていた。





あら?聞こえなかったかしら?
しかたがないわね。もう一度言うわ。
”相席は良いかしら?”


彼女は”もう一度”言った。
誰も居ない喫茶店で……なぜ?



え?なんで……
ほかも空いてますよね?





……そうね。そうかもしれないわ。





でも、人間というものは案外と臆病なの。
ハジメテというものを触れるには……少しばかり勇気が足りなかったみたい。





でも、不思議ね。
あなたと喋る事は――何一つ恐ろしくはなかったわ。


それが、僕と彼女の出会いだった。
