そう言って、私とサフィラさんは部屋を後にして、食堂へ向かった。
みんなを食堂に集めましょう。
そう言って、私とサフィラさんは部屋を後にして、食堂へ向かった。
サフィラさんは、私を食堂へ案内すると、他のみんなを集めると言って、私を残して、食堂を出て行った。
一人になっちゃった。
私は、食堂で一人、みんなが来るのを待つ以外、選択肢がなかった。
窓の外を見ると、赤い月が怪し光り、そこから漏れた赤い光りが、食堂の床を紅色に染めている。
サフィラさんまだかな？
私は、この何も無い時間がとても長く感じられた。
私が、しばらくじっとして待っていると、それまで静寂だった食堂に、ドアノブを回す音が響いた。
ドアノブがゆっくり回り、扉がゆっくりと動き出す。
次第に、扉の隙間は大きくなり、その隙間から暗闇がのぞく。
やがて、白い腕が暗闇から伸び、扉が勢いよく開かれる。
私はたまらず、目をつむり、悲鳴を上げてしまった。
こんばんは。ジャスミンさん。
目を開けると、そこにはクロードさんが立っていた。
あ、クロードさん。
あまり驚かさないでください。
これは失礼しました。私としては普通に入ってきたつもりなのですが……。
あれが、普通なわけがありません。
確実にからかっているでしょう。
私は、クロードさんに少し怒りを覚えた。
今なら、マリーさんの気持ちがよく分かる。
クロードは私に謝ると、扉の外から、一つのワゴンを持ってきた。
少々、悪ふざけが過ぎました。
ワゴンには、飲み物とクッキーが乗っていた。
こんなことになって申し訳ありません。
クロードさんはそれを私の前に出し、微笑んだ。
あの、これから私たちはどうなってしまうのでしょうか？
私は、クロードさんに聞く。
大丈夫です。私がいる限り、あなたに危害は加えさせません。
クロードの微笑みに、私は安堵を感じた。
お、願いしますね。
はい。承りました。お嬢様。
何それ、面白いジョークね。
ジョーク……。ですか……。
クロードが寂しそうな顔を見せる。
あの、どうかしたのですか？
私はこのときまだ、クロードさんの表情の意味が分からなかった。
いえ、何でもおりません。
そろそろ皆さんも来るころですし、そのクッキー、ジャスミンさんの分しか作っていないので、お早く食べてくださいね？
クロードは私に微笑んだ。
ありがとうございます。
私はクッキーを食べた。
そのクッキーは不思議と食べたことがある気がした。
