中に入ると、生徒会室のドアから想像される、それ以上の高級感あふれる光景が広がっていた。
これは、学園長室に引けを取らないレベルだ。いや、それ以上かもしれない。



し、失礼します。


中に入ると、生徒会室のドアから想像される、それ以上の高級感あふれる光景が広がっていた。
これは、学園長室に引けを取らないレベルだ。いや、それ以上かもしれない。



あ、そこのソファーに座って少し待ってて。


奥の部屋から風宮会長の声が聞こえた。
どうやら、何か作業をしているらしい。
言われた通りソファーに座ろうとしたとき、背の高い眼鏡の生徒が生徒会室に入ってきた。



邪魔だ。


男子生徒は私を睨みつけ、それだけ言うと、置くの部屋に入っていった。



あの人、どこかで見たような。


邪魔と言われたことに関しては聞き捨てならないが、それ以上に、風宮会長に呼び出されたことに関してとても気になっていたので、この事はそのまま見過ごした。



そもそも風宮会長は、どうして私の退学を取り消したんだろ?


私が悩んでいると、奥の部屋から背の高い眼鏡が出てきた。



会長が呼んでいる。来い。





……。


眼鏡の生徒から、なんとも雑な扱いを受け、少しイライラしながら奥の部屋に入ると、「会長」と書かれた大きな高級感あふれる机に風宮会長が机に肘を付いて、手を組んで座っていた。



傷は大丈夫?





あっ、はい。大丈夫です。


会長から出た第一声が自分を気遣う言葉だったので、私は少し驚きながら、「はい。」と答えた。



あの、風宮会長。
私は何でここに呼ばれたのでしょうか。


すると会長は、微笑みながら答えた。



そうね。
私はこの学園で一番強いのよ?





えっと……。そうでよすね。
生徒会長ですし。


私は会長の答えに対し、少し疑問に思いながら言葉を返した。



希さん。
あなたが最後に手加減をしたことについて、私が気づいていないなんて思っていないでしょうね?


会長から出てきた言葉に私は動揺を隠せなかった。
しかし、素直に話すわけにもいかないので、私は言い訳を言った。



あ、あれはですね。
技を出すタイミングがずれてしまってですね。
それで技を出さなかったと言いますか。
出せなかったと言いますか。


我ながら、とても言い訳じみた言い訳だ。
すると、会長が言った。



そうですか。


え、あっさり承諾された?



あくまで言わないつもりですか。


やっぱり承諾されていなかった。



良いでしょう。
言いたくなければ言わなくて良いです。


風宮会長が手を組むのをやめ、席を立った。



では、本題に入ります。





え、今のは本題では無かったんですか?





ええ、個人的に聞きたかったことですから。


私が聞くと、風宮会長はあっさりと答えた。



では、本題に入ります。
希さん。あなたの処分ですが、私は退学処分を撤回しました。





あ、はい。さっき保健室で、メグミンから聞きました。





ええ。ですが、条件があります。





え、条件?





そうです。


会長は私を見たまま微笑んだ。



そ、その条件とは何でしょうか。


私は恐る恐る聞いた。



簡単なことです。
今から、あなたの隣にいる人と模擬戦を行ってもらいます。


そう言われ、隣を見ると、さっきの眼鏡がいつの間にか私の隣に来ていた。



え、えっと。誰?


私は率直な疑問を問いかけた。



さっき、私たちの審判をやっていた副会長の金剛寺 猛よ。





あー。さっきの。


私は、テキトウな返事をする。



お前、俺のこと覚えてないだろ。





あー、バレちゃいました?





はぁ・・・・・・。


金剛寺はため息を吐く。
そして、咳払いを一つして、話し出した。



審判として見ていたが、さっきの申請試合、気になる点がいくつかあった。


金剛寺副会長は眼鏡の中からこちらを睨んで言った。



へ、へえ。そうなんだ。


私は苦笑いを浮かべて返事をする。



という訳で、あなたの太刀筋を、もう一度見ておきたいの。


そう言うと、風宮会長は壁にある赤いボタンを押した。



わっ――――――!


ボタンを押すと同時に、私たち三人のいる部屋がエレベーターのように、地下に降りていった。
