俺の見間違えじゃなければ、そこには崩れてしまって跡形もなくなった「何か」の前に、同い年くらいの女の子と・・・後は・・・なんだあれ?小さな男の子だ。手のひらサイズくらいの小さな男の子が、女の子の肩のありに浮いていた・・・人形か?
俺の見間違えじゃなければ、そこには崩れてしまって跡形もなくなった「何か」の前に、同い年くらいの女の子と・・・後は・・・なんだあれ?小さな男の子だ。手のひらサイズくらいの小さな男の子が、女の子の肩のありに浮いていた・・・人形か?



おいおい人形って・・・そりゃないぜ!





俺はアミス・ブライン。後に闇の妖精の王になる男だ!





は、はあ・・・?





ちょっと、その自己紹介はやめなさいって言ったでしょ。私まで白い目で見られるわ・・・。


すごい・・・設定はともあれ、この女の子が全部腹話術でしゃべらせてるのか・・・?人形の方もすごいリアルだし・・・。



俺という妖精を紹介するにはこの説明が一番なのさ。





あ、そして何度も言うが、俺は人形じゃない。腹話術なんてもっての外だ。





え、ええ・・・


なんか面倒な人だな・・・そう言うことにしておいてあげよう・・・っていうか、俺、もしかして今までの全部口に出てたのか?こっちの思ってることばんばん言い当ててくるけど・・・。



ああ、それな。驚かせたのなら申し訳ない。
お前の顔はよくものを語る・・・わかりやすくってな。





えっ、俺そんな顔に出てる・・・?





クククク、そうだな。非常にわかりやすいぜ?今だってーー。





アミス、今はそんなことどうでもいいわ。
早く本題に入ってちょうだい。





ククッ、そう急かすな・・・わかったよ。


アミスと名乗った妖精(?)は、女の子の肩から俺の目の前まで飛んでくると、表腕を広げて言った。



おめでとう!!君は由緒あるプレイヤー、スコアホルダーに選ばれました!!





は・・・?スコア・・・何だって?


新手の宗教勧誘か?



まあそうなるよな。





説明しよう!しかし簡潔に重要な部分のみ!!
スコアホルダーとは、非常に強い願いを持った少年時代を生きる子どもたち・・・そのうちナイスタイミングで、我らが創造神に選ばれた幸運な子どもたちのことさ!





あ、あの・・・俺神とか信じてないんで、そういうのは結構です・・・





ついに声に出しやがった・・・





あなたの言い方が悪いのよ。それじゃまさしく宗教勧誘だわ・・・。





・・・そうね。もっと簡単に言うわ。
・・・氷神在斗。


女の子が平然と俺の名前を呼ぶ・・・あれ、教えたっけ・・・?



願いを叶える権利をかけて、私と戦いなさい。





は?


何言ってるんだこの子。



おやおや、ずいぶん積極的だね、テナ?





二週間も待たされたんだもの・・・これ以上待つ気はないわ。





ま、待って!戦うって何?願いを叶える権利って・・・?





言葉の通りよ。私たちにはなんでも一つだけ願いを叶える権利が与えられた・・・でも、それは一つだけ。あなたか私、どちらか片方だけなの。


そんなこと急に言われたって・・・しかも戦うって、穏やかじゃないな・・・。



ごめん、ちょっと意味が・・・。





・・・・気が乗らないなら、こう言えばいいかしら?





あなたの学校に火を放ったのは私たちよ。





・・・え?


いきなり告げられた事に、驚きを隠せない・・・。
この子たちが放火犯・・・?どうして・・・?



願いを叶える権利を手にするには、二人のスコアホルダーが必要なの。火災の目的はただ一つ。新たなスコアホルダー候補を生み出す事。
結果は大成功だったわ。あなたという、強い願いをもつスコアホルダー候補が誕生したんだもの・・・。ねえ、





お友達、助けたいんでしょう?


こいつ・・・!!



お前・・・そんなことのために圭を・・・!!





そんなこと?私にとっては重要なことなの。あなたのお友達がどうなろうと知ったことではないわ。むしろ、それで条件がそろうのなら、私には利点しかないもの。





・・・まあ、事件の真相はそんなところなのさ・・・どうだい?これでも、彼女と戦う事を決意できないかい?





・・・・・・・んなの・・・!!





・・・出た方がいいんじゃないかい?
とても、悪い予感がするぜ。





・・・・・・


ニヤニヤと趣味の悪い笑みを浮かべるアミスを尻目に、俺はスマホを耳に当てる・・・通話の相手は母さんだった。



・・・・・・もしもし





在斗?今どこにいるの!?まだ病院の近く?





あ・・・えっと・・・うん。今、ターミナルに向かってて・・・





心配をかけさせたくないってか?クククッ、ずいぶん母親思いの優しい坊やじゃないか。嫌いじゃないぜ?


黙れ。と心の中でつぶやく。どうせまた、表情から読み取られるんだろう。
しかし今はそんなことよりも、いつになく慌てた風な母さんの方が気になった。



どうした?何かあった?





そ、そうなの・・・在斗、落ちつて聞いて。
さっき、圭くんのお母さんから電話があって・・・圭くんが・・・





圭に、何かあったのか!?





・・・容体が急に悪化して、心臓が・・・今、蘇生に当たっているらしいけど、もう・・・





そ、んな・・・嘘だろ・・・?





まだ、病院の近くにいるなら・・・行ってあげなさい・・・覚悟も、しておいた方がいいと思う・・・





・・・・・・・・わかっ、た・・・


容体が悪化・・・?だって、昼間はなんともなかったじゃないか・・・おばさんだって、きっとすぐに目を覚ますって・・・まさか、またこいつらが何か・・・!!



さて、何の話だった?
あれか?大事なお友達が危篤にでもなったか?





お前・・・!!





おいおい、俺たちは何もしてないぜ。今回はな。





運命の神のいたずら・・・ってやつかねぇ?おお、怖い怖い。


だめだ・・・一緒にいるだけ時間の無駄だ・・・俺は改めて帰り道を探すために歩き出した。



おいおい、どこに行くんだ?





・・・・・・帰る。





は?





何を言っているの?





帰るんだよ!圭が死んじゃうかもしれないんだ・・・だから・・・!





どうやって?





それをこれから探すんだ。





無駄ね。





それでも!!





わからない子ね。帰り道なんて見つからないわ。ここに来たら、先に進むしかないの。





またさっきの願いがどうのってやつか?だったら他を当たってくれ。俺は圭のところに行かなきゃならない。


そんなでたらめ話を聞いている暇はない。はやく行かなきゃ・・・圭が死んでしまう・・・!



無理よ。だってここ、どこだかわかっているの?





どこだか・・・は、知らない・・・
でも、入ってこれたんだから、出口だってあるはずだ!





ええ、あるわよ。でも、出た場所はきっと警察署ね。





・・・は?


警察署・・・?



察しが悪いから教えてあげる。
ここは「未開島」。人々の侵入が禁止されている島・・・出口と言ったら、政府が所有している開発ターミナルくらいじゃないかしら?
そんなところに堂々と入っていこうものなら・・・不法侵入罪で現行犯逮捕。お友達の安否確認どころじゃないわ。





未開島・・・ここが・・?


聞いたことはあった・・・一般人の進入が禁止された未開発区域・・・未開島。そこまでの経路は全面的に隠されていて、切り立った崖のせいで船が近づくことはできないーー



そんなところに・・・どうやって・・・





魔法(マジック)さ。





・・・マジック?





そう。俺ってば最強の妖精なうえ、最高の魔術師(マジシャン)なんだよね・・・!


そう言うと、アミスは左の指をパチンと鳴らし・・・
その手に、真っ赤な炎が灯った。



わっ!?





本業は闇魔法だから、火属性の魔法は赤い炎しか出せないけど・・・!





不完全燃焼ね。





言ってくれるな


アミスはその炎を握りつぶすようにしてもみ消すと、再度俺のそばによって言う。



信じてもらえたかな?さっきの諸々の話も一緒に。





・・・・・・・・





驚きすぎて声も出ないか・・・
なら、これはきっと効果覿面だな。


突如、俺の足下に禍々しい模様の魔方陣が浮かび上がった・・・!



うわ!?





下手に動くな?その魔方陣の中にい間は、お前の命は俺の意のままだ。





どういうことだ・・・!





俺が得意な魔法は闇魔法・・・闇魔法ってのはな、基本的に対象を呪ったり、そのまま殺したりできるものが多い。





その意味が、わかるな?


つまり・・・変な動きを使用ものなら殺す・・・って事か・・・?
俺は顔を真っ青にしてその場でガタガタと震えた。



本当はこの脅しは最終手段だったんだが・・・仕方ない。だってお前強情なんだもん。





う、あ・・・





でも、この話・・・今のお前にとっても、もちろんテナにとっても悪い話ではないと思うんだが・・・なあ、テナ?





そうね。今あなたがお友達のところに行ったって何もできない・・・けど、この話に乗れば、そのお友達を助けることができるかもしれないの。どうかしら、氷神くん?


ここまでされたら、正直信じるしかない・・・でも、仮に本当だとして・・・俺はこれからこいつらにどう立ち向かっていけばいいのか、わからない。
俺なんかが敵う相手なのだろうか・・・?



わからないことは怖いことだ。でも、やってみないとわからない。やってみてもだめだったら、誰かの力を借りればいい。何も一人で立ち向かって来いなんて言わないさ。


足下の魔方陣が消える。



素晴らしい決断だ、アルト。まさしく英断、スコアホルダーに相応しい。





よって君にはこれを与えよう。


アミスが、手に持っていたステッキを俺の前で振る。すると、そこに一枚の紙と細長い棒が現れた。



・・・これは・・・?





それはサウンドレススコアとノーツバトン。
君にはこれを持って、我が故郷「イマジネーションガイア」を旅してもらう。





イマジネーション、ガイア・・・?





そう。その各地にあるノーツモニュメントにスコアを立てかけ、そのバトンを振るんだ。するとあら不思議!何も書かれていないスコアに、音が刻まれていく・・・。





そして二人分の楽譜が完成したとき、奏者が目覚め、願いの祭壇への道が開かれる・・・。





・・・・・・つまり・・・?





まあ、簡単に言うと、
その1、イマガイの各地を回ってサウンドレススコアを完成させろ。
その2、完成したスコアを演奏するための奏者を探せ。
その3・・・・・・





和解できないならもう一人のスコアホルダーを殺せ





・・・え?


殺せ・・・だって?



旅の目的はたったこれだけ!な、簡単だろう?





ま、待って、最後のって!!





さあ、もう言うことはない!でもまず、君はパートナーを探せ!じゃないと旅は始まらないぜ!!





やっとなのね・・・じゃあ氷神くん、パートナー探し、頑張って。





殺せって何だよ!!なんでこれ聞いて平然としてられるのさ!!


二人は俺の問いかけを無視して、崩れた「何か」に向き直る・・・



さあ、お待たせいたした少年少女、紳士淑女並びに我らが創造神!!世紀の一大行事・・・スコアゲームの始まりだ!!





時空転移魔法・カオスゲート、開門!!


「何か」に向かって、アミスが勢いよくステッキを振り上げる!!
崩れ「何か」は、大きな鏡になった・・・表面には魔方陣が浮き上がり、淡い光を放っている・・・。



さあ・・・入り口は開かれた・・・行こうか、欲深い人間ーースコアホルダー諸君?


気がつくと、俺の足は自然と鏡に向かっていて、その表面に手を伸ばしたーー。
待ってろ、圭。
必ず助けてやるからなーー。
プレリュード
在斗、願う ~Fin~
次回
(と全く関係ない次回)
予告!!
無事にイマガイへとたどり着いた在斗。
しかし、そこは世紀末さながらの死ぬほどアツい展開が目白押しの世界だった!!
反抗期真っ盛りクール気取りの在斗は果たして、その世界の空気に耐えうることはできるのか!?



いやー!!お役人様やめてー!!(半笑い)





ふーっはっはっはっはっは!!
よいではないかよいではないかぁ!!(割とノリノリ)





・・・え、えっと・・・





そ、そこまでだ!!悪辣役人め・・・!!(戸惑い気味に)





これ世紀末じゃないから!!っていうかさらっとネタバレすんなああああ!!!!!!


次回
「ルナ、夢を見る」
こうご期待!!



何でそこだけ本当なの!?



親友ノ命ヲ救ウタメ戦イニ身ヲ投ジル主人公アルト、果タシテドウナルノダ……トシリアスナ展開ガ最後デ和ンダww