翌日.....
翌日.....



ふう~


僕は少し早めに待ち合わせ場所に来ていた。
というのも、昨晩布団に入っている時、綾瀬から電話をもらったからだ。



みーくん。こんな話しを知っているだろうか?


昨日の朝とは打って変わり、いつもの綾瀬に戻っていた。……立ち直りの早い奴である。



友達のいない6歳の男の子は、ある時初めて友達ができるんだ。同い年の可愛らしい女の子。男の子はずっと彼女と遊んでいた。その間も周りからは『独りぼっち』なんて言われていたけれど、女の子がいれば彼にとってそんな言葉は何の苦にもならなかった


電話の向こうで鐘の鳴る音がした。大方時計が新たな1日を告げているのだろう。



けれど、彼が高校生になったある日、女の子は唐突に姿を消してしまうんだ。その頃には男には少しだけど他に友達もできていたから、それで彼が1人になることはなかったんだけれど……


僕の脳内に、記憶の映像が流れた。
僕には、過去の僕には。偽りの友達しかいなかった。そんな女の子さえ、僕にはいなかったのだ。
綾瀬の話しと何の関係もない僕の過去が、けれども頭の中で鮮明に色を帯びる。



彼は探すんだ。その女の子を。親にも、友達でも何でもなかった昔のクラスメイトにまで、その子のことを聞いて回るんだ。だけど、みんな覚えていない。みんなが口をそろえて言うんだ


その言葉の続きを、僕は容易に想像できた。



『お前はいつでも独りだった』、てね


ああ、やっぱり。そうだった。
僕もいつも言われていた。うわべだけの付き合いで、そこに心は通っていなくて。
いつも1人で寂しくないの?
1人でも信頼できる友達を作りなさい。



そしてさ、ある日。本当に何気なくある日。
彼は気付いてしまうんだ。悟ってしまったんだ


その言葉も、僕には容易に想像できてしまった。
そんなこと、僕は決してやらないけれど。



遅い!


約束の時間が過ぎても、綾瀬はやって来なかった。
しかしどうせこの後藤峰との約束もあるので、僕はこのまま気長に待つことにした。
と。僕の携帯電話が鳴る。



綾瀬だろうか


そんな事を思いながら画面を見ると、知らない番号だった。
取り敢えず電話に出る。
だから。
世界はその流れを狂わせた。



おはようございます。お友達とは、会えましたか?


* * * * *
こんにちは。ご覧いただきありがとうございます。
先日、クレープを作ろうとしていたのですが、記事を大量に作ってしまったため、急遽ミルクレープに変更しました。
クレープとミルクレープ。似ているようでも、私からすればやっぱり違います。そしてやっぱり、クレープの方が好きだなあと感じました。
まあ私が作ったからミルクレープがいまいちだったのかもしれませんが(笑)
さて、次回はいよいよ白石未筝が登場する予感です!
随分と間が空きましたが、彼女の登場を温かく見守ってあげてください。
