不本意ながらも、王子様の隣を歩くのだからとちゃんとお洒落をして待ち合わせ場所に向かう日曜日。
渡くんが言うところの、デートの日。
ぴったり指定された時刻を狙って待ち合わせ場所に到着すると、
時計台のしたには、もう渡くんが来ていた。
見たことのある顔ぶれと一緒に。
不本意ながらも、王子様の隣を歩くのだからとちゃんとお洒落をして待ち合わせ場所に向かう日曜日。
渡くんが言うところの、デートの日。
ぴったり指定された時刻を狙って待ち合わせ場所に到着すると、
時計台のしたには、もう渡くんが来ていた。
見たことのある顔ぶれと一緒に。
なんでクラスの子がいるのよ…。
明るくてクラスカーストの上位に位置する、しかも渡くんに好意を抱いているであろう女の子が二人。
これ、私は本当に彼の元に行かなくてはいけないのだろうか。こんな行き難いなかを。
もういっそのこと、あの二人と渡くんの三人で映画に行ってこればいいのに。
そんなことを思っていると、渡くんと目が合ってしまった。
青木さん、おはよ。
そう言って私の名前を呼ぶので、
渋々と渡くんの元へ行く。
時間ぴったりだね、行こっか。
ふわりと王子様フェイスで笑う渡くんと、驚いた顔のクラスメイト二人。
え、斗真くんの待ち合わせって、青木さんとだったの？
うん、デートの約束していて。
途端にキッと力の入った目をした彼女たちに、私は苦笑いを浮かべて否定する。
別に、そんなんじゃないから…。
青木さん、行こう。
渡くんはサッと彼女たちに背を向けて、まるで見えていないかのように振る舞う。
酷い、王子様だ。
あの子達、良かったの？
ああ、たまたま出会っただけ。
邪魔だったねえ、
薬と笑った渡くんのこの上なく高圧的なところ。
いや、あの子達にとっては私が邪魔なんだからね。あの子達と映画行けば良かったのに。
せっかく約束をしているのに、そんな酷いことを言うの？青木さんとデートするのを楽しみにしてたのに。
ふ、と指と指が触れて絡まりそうになった体温を、
全力で阻止した。
手をつなぐとか、そういうのはやめとこ。まるでデートじゃんか…。
だからデートだって。手、繋ご。
私の何枚も上を行く渡くんの誘いを丁重に断って、彼の斜め後ろを歩く。
隣に並ぶのはどうしても気が引けて、
おずおずおと仕方なしについていく。
渡くんは人目を惹く。
周りの人たちが彼を指して、あの人かっっこいいねと言っているのには気付いていた。
青木さん、
は、はい。
今日はちょっと化粧してるんだね、可愛い。大人っぽく見える。
ほら、どうしてこういうことを言うのだろうか。
王子様直々のリップサービスをありがとうございます。
さすがにそれを素直に飲み込んで喜ぶほど、身の程知らずではない。
…青木さんってどうしてそんなに卑屈なの。よくないよ。
だって、私は間違っていないと思う。
渡くん無理しなくていいからね。別に渡くんからの可愛いとか、そんなの、いらないよ。
ごめんね、私がそう謝ると、
気に食わないね。と渡くんはニコリと笑った。
こんなこと言いたくないけど、青木さん生意気
だから命令。割り切ってデート、してよ。俺の命令には逆らえないでしょ？
…だよね？アオちゃん。
っ…
だよね？の声にこもった圧。
こんなタイミングで痛いところを突いてくるなんて。すっかり忘れかけていたこと。
伏せ向きがちに、私は渡くん…リトさんの隣に並ぶ。不釣り合いなことはもう分かっている。
リトさんとアオちゃん。
そうなった瞬間に変な熱が割入ってきた。
映画館入ろっか。
渡くんが持っていたチケットで三番シアターに入る。
映画館特有の暗さとおと、妖しい雰囲気、
すぐ隣には、渡くん。
ねー、ここでシちゃう？
不意にグンと近付いては、耳元でそう囁かれて。
…はあ、
どうしていいかわからない私は、苦笑いをひとつ。
可愛いね青木さん。嘘に決まってるじゃん。
分かってる、そんなこと。
貴方が、魅力のない私にてなんか出さないことくらい。
どうせならば、やはりリトさんと出会いたかった。
そう言いたかったことは、飲み込むことにした。
渡くんと、尚ちゃんがおんなじとこで出会うべきして出会ったのに立場か違うとこんなにぎすぎすみたいになってむむむむってかんじです
