ロッジでは前日とは香川と中西の雰囲気がうってかわり穏やかになっていた。二人で夕食で何を作るか楽しそうに話している。関口が僕の傍に近より小声でつぶやく様に言ってきた。
ロッジでは前日とは香川と中西の雰囲気がうってかわり穏やかになっていた。二人で夕食で何を作るか楽しそうに話している。関口が僕の傍に近より小声でつぶやく様に言ってきた。



何かあの二人昨日とやってる事は同じなんだけど、全然雰囲気ちがくねぇーか?


関口の表情はかなり悔しさが見える。



お前は梶本狙いだろ?


こいつは全く節操が無い奴だな~



そうだけどよ中西のあの笑い方が結構可愛いなあ~って思えてきた、ああ俺どうしよー


リビドー全開ですね関口さん。



はぁ~はいはい、お好きな様に、


それから夕食を作る時間になり、昨夜とはキッチンでの二人の様子がよりはっきりと違うのが分かった。言葉で言い表すのは難しいけど、料理を作っている時の二人の雰囲気というか呼吸がぴったりと合っているのが良く分かった。
ただ、お邪魔虫の関口も料理人魂が黙っていられなかったようでディナー作りには香川と中西に関口も加わりより賑やかになった。



あああ~また香川お前!そんなにバターばっかり!体に悪いだろう~





もう~うるさいな関口は母さんみたいに!バター使ったほうが美味しいんだよ





だいきくん、そんな事言っていいの?


中西さんが眼光するどく睨みつける。怖っ!中西さんの眼力、怜奈と同レベルだな。



これからだいきくんの食事は私がぜ~んぶオリーブオイルと少量の塩で調理するから、わかった?あと君の食材の比率はこれから野菜6に肉が2





えええええ~そんなあ





いいじゃない、ちゃ~んと炭水化物も2あるからね!





しょうがないな~わかったよ


後で、夜中に黙ってへへへへ



あっ香川の奴何か悪い事閃いた表情だ、爽やか腹黒さんと同じ顔してる。





あと~だいき君さあ、分かっていると思うけど夜冷蔵庫に鍵かけるから、夜中盗み食いしようなんて思っても無駄だからね





げぇっ!読まれてる!





う~んまるで、関羽にばったり待ち伏せくらった曹操!いっいやそうじゃなくて、うわ~この感じは怜奈と良い勝負だな、こわ!





もう香川は尻に引かれているな~ヒヒイ~ヒヒ~


皆でそれを聞いて大声で笑った。
暫くすると、香川と中西の息のあった二人プラス、自称?天才料理人の関口達はてきぱきと数多くの料理を作り上げ、それをみんなでテーブルの上に並べた、料理は沖縄特産の島豆腐を使った、豆腐料理や、油分を良く取った豚肉料理
色が濃い島にんじんを使った炒め物等、極力油を使わない身体に優しい料理が殆どだった。



中西が全てメニューをきめたそうだよ、





うわぁびっくりした!!いきなり背後から気配なしで張りの有る声で話し掛けないでよ!昼間も言っただろ!





わかった今度はちょっとソフトな声にしてみるよ





いやそうじゃなくてね





まったくゲス海は……


いただきま~す
料理はさすがに腕に自信がある3人が作ったのでとても美味だった。でもこの料理の内西洋風の煮込み料理はどこかで食べたような気がするけど



このチキンの煮込み私の好きなホテルのフルコースのと良く似ているな、つい最近もどこかで食べたような


怜奈も同じ感想をもっている、まあいいや。
夕食を楽しんだ後、僕達はトランプやゲームをしていた。その時清水が自分の部屋からウクレレを持ってきて突然言った。



じゃ、それでは皆様の期待に答えまして俺が一番好きなハワイアンミュージックを歌います。曲はアロハオエ日本語で歌います





えっ?何?誰もリクエストなんかしてないと思ったけど


と怜奈が冷静なつっこみを入れる。
はなさんは、その様子をややひややかな目で、



ああ~またあいつのハワイアン聞かなきゃならないのかぁ~


清水は、ウクレレの美しい音色を奏でながら、歌い始めた
”誰も知らない、あなたの真心を私だけは知っている、あなたのすばらしさはこれからも私だけのもの
もし、あなたと私に距離があったとしても、ティアレの髪飾りをつけあなたを待っている”



へぇ、清水上手だねそれに良い歌だね


はなさんは、ちょっと首をかしげて、不思議そうな表情で清水を見ている



あれぇ、おかしいな





どうしたの?





私この曲は何回も耳にタコができるくらい聴いてるから、歌詞は良く知ってるんだけどこの歌詞はいつもとは違うような気がする。


スマホで歌詞を調べてみる、



本当だ、アレンジしてある、あっ!そうか、そう言う事か





清水らしいね、まあったく、こういう風に





でも、今日はいいかな


そのあと清水のハワイアン熱唱が一時間程続き、あたりを見ると今日の騒動で疲れたのか関口はすでに熟睡モードだった、他の奴等も目がとろーんとしていた。しかし椅子に座って良く眠れるなあ、俺はダメなんだよね、こいつが羨ましいよ。
香川君と中西さんの方に目を向けてみる、時々しか目を合わせていないけど二人ともお互いに信頼している表情だ、もう大丈夫だな。
そんな事を思いながら体がリラックスしてくるのを感じていると、はなさんが小声で話しかけてきた。



でも今日は良かった。
さっきこうくんが帰って来る少し前まゆが戻って来て、香川くんに泣きながら謝り続けてね、最後は声にならなかったんだよね。
でもね、まゆ勇気を出して自分の事とか全部話したんだ、香川くんそれをやさしい表情で黙って聞いて、ありがとう全部話してくれるの俺待ってた、だって。
そのあと二人で、みんないるのにちょっと恥ずかしいけど抱き合っていたんだよ、見ているこっちも恥かしかったよ





そうかぁー良かったね、





こうくんのお陰だよ。





いや、中西さん自身が頑張ったんだよ、僕が中西さんの立場だったら言えたかど





それでも、こうくんが動かしたんだよ





そうかな、まあ誰のおかげでもいいや二人が元にもどったんだか





こうくん、もしさ、良ければだけど、この後散歩にでも行かない?





えっああ、うんそだね


ロッジの前で待ち合わせてはなさんと一緒に夜のビーチを歩いた。
石垣の夜のビーチは星空がとても綺麗で、宝石箱みたいに輝いていた。



綺麗だね





そうだね~





こうくん





うん何?





ここまでさいろんなことあったけど、生徒会楽しめてる?





まあ何とか楽しめてるよ、多分


振り向くと月明かりのなかではなさんが、少し寂しそうに僕を見ていた。はなさんの悲しい表情は絶対見たくないと強く思った、だから自然と言葉がでた。



でっでも、はなさんがいなかったらここまで続けていなかったと思うなあ


ぱあっとはなさんがいつもの明るい表情に戻る、柔らかい潮風に長い髪が揺れている。月光に照らされたはなさんの白い肌はいつもより白くて、眼が透きとおって吸い込まれるくらい綺麗だった。



ありがとう、なんか照れるね、はは!





へへへ、自分でも照れるよ





こうくん





うん?





私、香港よりもオーストラリアよりもここに来れて良かった





僕もそう思う





もうそろそろ戻らないとね





あっそうだね


海岸からロッジまで戻る時、道が途中細くなったところがあった。狭くなった道を歩いた時小指と薬指が重なってそのあと自然と軽く手を繋いで歩く感じになった。そのとき清水からラインが入った。



邪魔してごめん、もうそろそろ戻って来てくれないか?お姫様もすこ~しご機嫌斜めっててね頼むよ


了解と打ち込むと、僕ははなさんとロッジに戻った、
その夜ダイニングキッチンで清水とコーヒを飲みながらここであった事を話していると、中西さんが二階の寝室から降りてきた。



あっやっぱりいた、松川くん清水くん今回はいろいろありがとう、本当に感謝してる。





良かったね、香川君と仲良くね。





それで、実は今度グルメ倶楽部は二人で辞めて新しく同好会を立ち上げ様かと思っているんだけど、誰かメンバになってくれそうな人いないかなあと思って、


清水は、何やら黒い考えが閃いたようだ、表情からわかる。いつものさわやか腹黒さん降臨だ!



俺は思い当たりがあるよ、今度来る交換留学生がいてね、外人だけど





え?本当?





入部届は俺が代理でだすから





えっ?いいの?





いい、是非とも!!彼女料理大好きだから、それに俺全権あたえられているんだ!





うわぁなんでそんなにめいっぱい力強く嘘並べるかなあ~全権ってお前はどっかの外国の大使かよ、こりゃ留学生確かなんとかドニーとか言ってたっけ?彼女と相当何かあるな。





ありがとう、じゃあ、宜しくね、後実はそれとは別に私の友達で相談に乗ってほしいことが有るんだけど


そう言うと、中西は戸惑いながらも話し始めた。



実は私の友達の事なんだけど、


そう言いかけると少し言うかどうか戸惑いの表情を見せた後、中西さんは切り出した。



E組の緒方りまなんだけど、知ってる?





ああ、確かE組委員長だったね、生徒会の連絡会で会ったのを覚えている。確か学年でもトップクラスの優秀な人だったと思うけど、しかも確か一年ながら、テニス部の部長も務める、家庭も父親は外資系証券会社の筆頭アナリスト、母親は霞ヶ関の高級官僚まさに天は二物を与えたような完全人間、完全家庭


清水の説明を聞きながら僕は少しうな垂れながら思う、僕って本当に何にも知らないんだなあ~意気消沈。



まっまあ、私もそこまでは詳しくは知らなかったんだけどって言うか清水君ちょっと怖いんだけ





でしょう~全く!何私の友達ドン引きさせてるかな~


はなさんも降りてきた、呆れた表情をしている。



ごめんねまゆ、怖がらせて、でもこいつこーゆー奴だけど頼りになるから





そうなんだじゃあ言っても大丈夫だね。実はりまとは出身が同じ関西だから話が合ってね、それに楽しくていい子なんだけど最近なんか元気無くてね。恐らく付き合っている人ときっと、でもなあ~まさかな


何かかなり迷っている、恐らく自分が言う事に確証が持てないだけど、かなり知ってる事は深刻な状況そんな感じかな、僕はそう思った。



ここにいるメンバーはみんな秘密は守るから、それに恐らくこうなんじゃないかって、いう、程度でも良いと思うよ。





分かった、あのね多分間違っているかも知れないけど、りま、安田先生と付き合ってると思う





えっ?


はなさんは、急に顔色を変え何か驚愕の表情を表している。



まゆ、ごめん、わたしE組の事よく知らなくて、緒方さんの写真見せて貰える?





いいよ、少し待ってね


緒方の写された写真を見たはなさんは、沈黙してしまった。
中西さんが部屋に戻った後、はなさんに正直に聞く。



はなさん何か知って事があるね。





……


はなさんは珍しく目を逸らして大きな瞳を下に向けたままにしていた、長い睫毛が伏し目がちになってしまった綺麗な瞳を隠している。



はなさん!





田中隠し事は、うちの方針では認めない事分かってるだろう?





分かった言うよ、あのね写真を見るまで緒方さんの顔よく知らなかったから確信が持てなかったんだ、でも私彼女がって言うか、その二人がホテルに入ってきたとこ見た事ある


僕は突然の告白に心臓が一瞬痛くなり、そのあと直ぐに鼓動が速くなるのが自分でも分かった。
そうかそうだよね、僕は何を期待してたんだろう、はなさん位の女の子なら付き合っている人いるよね。顔がぐしゃぐしゃになってくるのが分かった



僕ちょっと戻るね


そう言って部屋に戻ってしまった。
