第一章
四月十七日（日）
どうしてあたしの体からは、精液が出ないんだぁーーーーーーー
出ないんだぁー
ないんだぁー
いんだぁー
んだぁー
だぁー
ぁー
第一章
四月十七日（日）
どうしてあたしの体からは、精液が出ないんだぁーーーーーーー
出ないんだぁー
ないんだぁー
いんだぁー
んだぁー
だぁー
ぁー
日曜の朝から何てことを叫ぶんだ、お前は
冷静にツッコミながらあたしの頭をはたく、早乙女詩織（さおとめしおり）。でもあたしとしても、この想いに至ったれっきとした理由がある。それを主張せざるを得ない、しなかったら禿げる。
禿げるかハゲ
だってね、だってね。
ふーみんママ――天然甘やかし巨乳キャラ歩美（ふみ）さんの、このシーン。
包茎ち○ぽむきながら、おっぱいボディソープで綺麗にしてあげていたら、我慢できずに射精されちゃって、おっぱいにいっぱいかかったままバックで突かれたら、おっぱいが揺れまくって真後ろ視点なのにおっぱい横にはみ出して見えて、しかもその揺れるおっぱいからは精液が飛び散ってまるで母乳飛び散ったみたいになってるんだよ！
ああ、もちろん私もそのシーンは知っている。それで？
だからね、あたしも精液出ればこれと同じことができるのに、精液が出ないなんていう神様の悪戯で――
待て、神様の悪戯はないだろう。それだと性別に関する障碍でもあるかのようだ
じゃあなんて言えばいい？ 神様の気まぐれ？
……何でもいい
とにかくあたしは精液が出ないから、ふーみんママとこのプレイが出来ないのよ。
うわーん！
とりあえずな、仮にお前が精液を出せたとしても、歩美さんがいない以上、そのプレイはできない
…………。
はっ！
遅い。もっと早く気付け
そうだった。ふーみんママこと歩美さんは、エロゲのキャラクターであって、このリアル世界には存在しない……。
エロゲもリアルの一部だけどな。まさかパソコンの中に他の世界が構築されているわけではない
え？ じゃあふーみんママのおっぱい吸えるの？
やったー。
早い。何段階飛び越して喜んでいる
……そうだよね。所詮は夢物語。
やっぱりリアルなんて糞だ。
糞かどうかは知らんが、エロゲのほうが面白いのは全面的に同意だ
詩織……、あなたと出会えて良かったよ。
高校受験直前まで女子校に入ろうと思っていたけど、女子校じゃエロゲ仲間は絶対いないからと考え直して共学に入ってみたら、エロゲ趣味の男子いたとしてもどうやって女子のあたしと話題を共有する仲になるのかっていう難問が待ち構えていて――
その辺りも実に遅いな。お前は本当に気付くのが遅い
まあそのおかげで早乙女詩織という無二の親友と出会えたわけで。
ん？ 親友になったつもりはないが？
そ、そう。でも、大切な友達――
友達なのか？ そう思ったこともないが
そ、そうなんだ。じゃあエロゲ仲間？
確かに私としても、エロゲの話題を共有できる相手は欲しいし助かっているが、お前と一緒にするなとは常々思っている
がーん！
いいんだ、やっぱりあたしにはエロゲしかないんだ。
そういう考え方はやめろ。逃避先としてエロゲ――エロゲに限らずアニメでもラノベでも何でもいいが、日常生活と比較すればマシという動機で好んでいては、質の維持向上が期待できなくなる
なるほど。つまりエロゲ最高！ ってことだね。
あ、ああ。まあそうだ
うん！ それを確認したところで、今日のエロゲライフ行ってみよう。
それは構わないが、さっきの精液の叫び、お前の弟に聞こえていたと思うぞ。ここの防音を突破するくらいの叫びだった
防音突破することはないと思うけど、もし聞こえていたとしても大丈夫だよ。まだ精通してないからね。
してるかしてないかは関係ないだろ。性教育もあることだし、そうでなくてもわかる時はわかる
そうだった。小学生とはいえ、性教育もあれば、他に知識得る機会も確実にあった。
いや、ちょっと待てよ。お前なんで弟が精通してるかなんて知ってるんだ
…………。
…………。
…………。
おい、何とか言え。い、言えない何かがあるのか
ううん。エロゲ貸してあげたことあるんだけど、射精した痕跡なかったから。
小学生に貸すな！ いくらなんでも早過ぎるだろ。というか痕跡がないことを何故知っている!?
さあ、エロゲをやりましょう。早く終わらせて貸してあげ――
やめい
