街の中心で待ち構えていたのは、今までの影とは比べ物にならないほど巨大な狼の影。狼は、絶えず周囲に小さな影を生み出し続けている。
街の中心で待ち構えていたのは、今までの影とは比べ物にならないほど巨大な狼の影。狼は、絶えず周囲に小さな影を生み出し続けている。



どうもならんッスねー。





アンタのせいでしょ!
雑魚が邪魔で本体が削れないじゃないの。あいつら引き剥がしてよ!





このキャラクターは魔法剣士がコンセプトなんで、ヘイトを集めるスキルは切ってるッス。





使えない……。





6号さん! 大丈夫ですか?





お、良いところに。





ん、知り合い?


6号の隣に居る女性、キャラクターネームはRose、レベルは6号に並ぶほど高い。



私はRoseっていうのー。
よろしくね。





あ、どうも。
ヤクルトって言います。





ちょっとちょっと。
ボスが目の前に居るのに、のんきに自己紹介しないで欲しいッス。





別にいいでしょ。
どうせ、こっちが行動しなければ向こうも動けないんだから。
行動選択中は雑談タイムよ。





これが強者の余裕か。





違うッス。





えー、話を戻して……。
良いところに来てくれたッス。
あのボスを倒したいんスけど、雑魚が邪魔で攻撃することができないッス。
雑魚の相手を頼めるッスか?





勿論です。任せてください!





……というか。


狼のレベル表示は、6号やRoseのそれと同等だ。3人に太刀打ちできる相手とは思えない。



私達がアレの相手をすれば、1撃ともたないだろうな。





そういうことだな。
雑魚は俺達に任せてくれ。





というか、なんで最初の街に出てくるのがこんな化物なんだろうな。





ここも、改善の余地有りですね。





ごめんねー。
頼んだわ。


レグルス、ヤクルトの2人が二手に別れ、狼を挟む。



こっちへ来いッ!





お前らはこっちだ!


2人が影を引き付ける。狼の周辺に居る影達が綺麗に左右へ別れ、狼までの道が開いた。



まるでモーゼッスね。





馬鹿なこと言ってないで、早く行きなさいよ。





へいへい。


6号が"道"を駆け抜けた。狼影が吠える。



あぶね……ッス。
爪の攻撃はかなり強力そうッスね。





なら、その足を封じさせて貰うッス。


6号の大剣が水流を纏う。水流は斬撃に追従し、切り裂いた狼影の足に絡みついた。



ナイスよ。


Roseの手から、無数の氷弾が放たれる。
氷弾は絡みついた水流に着弾し、凍結を始めた。狼の足が氷りで覆われ、身動きが取れなくなる。



……。





v





ぶい じゃねーッスよ。





ほらほら。来るよ。


爪を封じられた狼が牙を剥き出しにした。
6号目掛けて齧りつくが、既に6号の姿は無い。



カウンターッス。


6号の反撃箇所を、Roseの氷弾が的確に追撃する。
狼の咆哮が響き渡った。咆哮の衝撃で、狼影の氷塊に亀裂が入る。狼は氷塊がまとわりついた爪を力任せに引き抜き、6号目掛けて振り抜いた。
爪の攻撃を受ける前に、6号は地面を強く蹴って飛び上がった。狼の攻撃は空を切る。
狼は宙の6号へ牙を剥くが――
頭部に氷弾を受け、狼の狙いが反れる。



ナイス! これで決めるッス!





――奥義!





氷牙一閃――





ダッサ……。


6号の奥義(?)を頭部に受けた狼は、霧となって消え去った。狼が消滅したためか、周りの影達も消えていく。



なんでッスか。ちゃんとトドメ刺さってるじゃないッスか。





アンタの決め台詞の事を言ってんのよ。





凄いですね! 本当に倒してしまうなんて。





皆が雑魚の相手をしてくれたおかげよ。ありがとう。





倒したのはほぼジークなんだけどな。





私にできる事は、敵を倒すことぐらいだからな。





今回は2人が離れていたから、少ししんどかったよ。





とにかく、おかげさまでイベントクリアッス。皆お疲れ様。





じゃあ、これで街は平和に戻るんですね。





んー、それはわからんッス。
イベント期間はまだまだあるし、多分あの狼、また来るッス。





……は?





また狼が湧いたら、皆お願いね。





……え。


