声が聞こえる・・・これは・・・



うわあああ!!見てみて×××!!
すっごいキレイだよ!!


声が聞こえる・・・これは・・・



ああ、本当だ・・・見事なものだね。


俺の声・・・?でも、なんか、幼い・・・?
・・・ああ、これ・・・夢・・・?



うわぁ・・・ね、ね!!
もっと近くで見たい!!





あっ、ちょ、×××!!待って!!


もう一つの声が、幼い俺を引き留める。
しかし、俺は振り返らずに桜の木へと走っていく・・・。
この声の持ち主は、誰だっけ・・・。
思い出せない。
・・・・・・いや・・・



待ってってば!ねえ!!





あっ・・・あ、あ・・・





にげて・・・にげて、×××・・・にげ・・・





ああ・・・うう、あ・・・!!





ほら、殺してやれよ。苦しんでるぞ。





あ、ああ・・・





ああ・・・あああああああッ!!!!


ッ!!!!!



は・・・は・・・は・・・





よくやったな。ほら、約束通りガキには手を出さないでやったぜ?喜べよ・・・





グリフォン





ッ!!!


夢から覚めると、俺は勢いよくその場から飛び起きた・・・そう。あれは夢。こんな職業なもんだから、こんな夢を見るのも日常茶飯事だった・・・ハズ。
・・・てかどこだここ。
どうやら、俺は今まで布団で寝かされていたらしい・・・何故?・・・ああ、そうか・・・確か山道に入ったところで雨に降られて・・・それで・・・
・・・・・・それで・・・?
亜里亜(アリア)はどうした?
サーっと全身から体温が奪われる心地がした。亜里亜はどうした?俺があんなところで倒れたら、亜里亜は・・・?まさか攫われた・・・?でもそうなら何でまだ俺が生きてる?まさかここは警察・・・?亜里亜は無事保護されたって線も・・・いやでも・・・!



・・・とにかくここを出よう・・・出られるもんなら・・・


生きているなら、まだ挽回のしようがある。
とにかく亜里亜を・・・亜里亜を探さなければ・・・!
罠が仕掛けられている可能性を考慮し、慎重にドアへと近づく。
待ってろ亜里亜・・・今・・・!



はー!今日の朝ごはんもおいしかったー♪





へぶっ!?


目の前のドアが勢いよく開き、俺は顔面を強打した。一瞬意識が飛びかけるが、何とか耐える。
・・・というか、さっきの声は・・・



へ・・・?う、うわあああ御黒(ミクロ)!?!?大丈夫ごめんね目覚めたの大丈夫!?もう平気なの?御黒急に倒れちゃって・・・それで、それでぇ・・・!!





亜里亜・・・





ふええええええ!!!死んじゃったかと思った御黒のバカあああああ!!!!!


泣きながらタックルのごとく抱き着いてくるものだから、勢いを殺しきれずにしりもちをついてしまう。
・・・まったく、バカはどっちだって・・・



ばーかばあああか!!御黒のばあああああああか!!!・・・グスッ・・・よがっだあああああああ!!!!





・・・・・・





心配かけたな・・・ごめん


大声をあげて泣く亜里亜の背を撫で、俺はふと我に返る。何やってるんだ、俺は・・・この子に優しく接する資格なんて、俺には・・・



・・・でも





亜里亜には愛が必要だ・・・今、この子に愛をあげられるのは俺しかいない・・・





・・・・・・探さなきゃ・・・


亜里亜が安心して、幸せに過ごすことができる場所を・・・。
俺を忘れてもらえるような、優しい場所を・・・
