慣れない土地から慣れない土地への移動は、とても私の体力を消費させた。

家に着く頃には、青空だった空も茜色に変わっていて、1日の終わりを感じさせるには充分だった。

玄関を通り抜け、最初に向かったのはリビング…
ではなく、自分の部屋だった。

鞄を机に置き、中身を全て机に広げた。

これが日本の教科書か・・・。

机にあった物を全て整頓し、また綺麗な机へと元通りになった。

その後、クローゼットを開けて、部屋着を持ち、そのまますぐに風呂場へと向かった。

着ていたものを全て脱ぎ、お風呂の中に入った。

まずは身体にお湯をゆっくりとかけ、それと同時進行にタオルに石鹸をつけた。

私はそれで身体を洗い始めた。

身体を泡の付いたタオルで優しく擦りながら、鏡に映ってる自分と目があうと、そのまま下の方へと目線が行き、自分の胸を直視した。

決して小さくはない胸を揉みながら、自分に問いかけてみる…

ごめんなさい。Ｂしかないです。

気を取り直し、身体についた泡を落としてお風呂に浸かった。

長い溜め息が出て、体に温かいお湯を感じながら、今日の事を振り返った。

お風呂のお湯に浸かっていたからか、体がほてるのを感じ、すぐに湯船から出た。

身体を拭き、自分の部屋へと戻った時に、携帯のランプが光っているのが見えて、慌てて携帯を手に取った。

震える手で操作して、メールの画面を出した。

ハードバンクより…

携帯会社からのメールだった。

身体の芯から力が抜け、気づいた時には、ベッドにダイブをしていた。

そのまま枕に顔を埋めていると、いつの間にか、意識が飛んでしまった。

目が覚めたときには、窓から差し込む光が消え、空は完全に真っ暗になっていた。

寝てしまった事を悔やんでいると、

弟の春木(はるき)がご飯を呼びに来てくれた。

春木は、私の背中を押して半強制的にリビングへと連れていった。

ご飯を終えて、部屋に戻ると携帯の充電がヤバイことに気がついた。

その時だった。

携帯の着信音が部屋中に鳴り響いた。

さっきはこれで違ったのに、もう同じ事をやってる自分が恥ずかしい。

だが、見てみると知らないメールアドレスだった。

・・・

ちがーう！！

この子からメールが欲しいんじゃないんです！！

確かに、クラスの女子全員にあげたけど…

でも、男子は一人ですよ？

こんなにも、メールが待ち遠しいと思ったのは生まれて初めてかもしれない。

顔が熱くなるのがわかり、すぐに自覚することができた。

その日、携帯を充電しながら深夜近くまでメールを待ったが、女子全員からのメールは届いたものの、ただ一人の男子からはメールが届くことがなかった。

妹が作ってくれたご飯を食べながら、羽島さんへのメールの内容をひたすら考えるのだった。

…それより、今日もごはんが美味しいね。