端的に僕の心境を述べる。
超気まずい。



…………





…………





…………





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端的に僕の心境を述べる。
超気まずい。



え、えっと。みんなに集まってもらったのはほかでもありません


これから名推理でも始めてくれるんですか、茜名探偵さんよ。
大体、「今日の夕方××教室まで来い」と一方的に呼びつけてといて、集まってもらってもなにもないだろう。しかも、二人一緒に呼ぶか、普通?
見ろよ、赤王子と青執事の表情。僕も含めて「なんでいんの、こいつ」みたいな表情を浮かべてるんですけど。



まあ、用件は分かりきってるけどよ。俺の告白の返事だろ、茜? 俺の女になってくれるのかよ?





む、聞き捨てなりませんね、赤城君。私も茜様に想いを伝えたんですから





あ? 青田、おめーも茜に告ったのかよ?





ええ。「誰よりも尽くしたい」とね





はー、相変わらずだな、おめーのオンナへの尽くしっぷりは





相変わらずなのはお互い様です。君にように女性を無碍にする態度、理解しかねます





あ? やんのかよ?





なんです? やりますか?





あー、お楽しみ中悪いが、ちょっといいか?





楽しんでねえよ!





楽しんでません!





なんだかんだ言いながらも、息ぴったりなのな…………





おい、茜。そもそもこいつはなんだ? なんで茜への返事のこの場に部外者がいやがる?





初対面の彼を悪く言うつもりはありませんが、私も彼と同意見です。なぜ、彼もここにいるのか、説明してくださいませんか、茜様?





こいつはアラタ! 返事をするにあたって、一人じゃ心細かったから付き添ってもらったんだ。悪いけど、同席させてほしい





つーわけだ。コイツのわがままで悪いが、同席させてもらう





!……おい、今「アラタ」って言ったか?





アラタって……もしかして……あの?





あの「難関破りのアラタ」か?





例年合格率5パーセントの教授の試験を知識と独自の心理分析で纏めた対策用紙をクラスに配って合格率を90パーセントまで引き上げたという?





俺はウチの大学の弱小野球部の存続を賭けた強豪野球部との試合に、その「アラタ」ってやつが指揮を取って見事勝ちをもぎとって野球部を存続させたとも聞いたぜ?





アラタ、そんなことしてたの!?





使徒、すごいのぅ!





全部、ただの気まぐれでやったことだよ





数々の難題、難関を突破してきたことからいつしか、ついた名が「難関破りのアラタ」……貴方がそうだったんですね。会えて光栄です





俺もだ。この前のテストじゃお前の作った対策のおかげで、無事進級できた。ありがとよ





言ったろ? 僕のきまぐれでやってることだから気にしなくいい。それより、茜。そろそろ本題を





あ、あぁ! そうだった! 二人ともアタシの答えを聞いてほしい!





もちろんだ。つうか、それを聞くためにきたんだからな





私も聞きたいですね。彼と私、どちらに手を差し伸べるのかを





えと……アタシはだな……





ほら、がんばれ茜





頑張るのじゃ、茜とやら!





アタシは……アタシは……二人とも付き合えないっ! ごめん!





なっ…………





まさか……ふられた……?


学校を代表しているイケメンツートップだ。
振った経験はあっても、振られた経験は少ないのか、二人とも茫然自失となっている。
レアな光景だ、超写メりたい。



茜……理由を聞いてもいいか?





私のどこが駄目だったのでしょうか?


一目ぼれとはいえ、振られるとは微塵も思っていなかったのであろう。
尚も追いすがる赤王子と青執事。



んー、二人が悪いわけじゃなくて、今が楽しいから、付き合うとかはあんまし考えてないんだ。赤王子様も青羊もイケメンだから、きっといい娘見つけられるよ





…………





…………


羊じゃなくて執事な。青田も突っ込めよ。
そして、ちんちくりんの茜に赤王子と青執事が励まされとる。
すげー光景だな、マジ。二人ともしばらく沈黙し、やがて、



茜様……まさか、アラタ様と交際なさってるんで?





ほえっ!?





はっ!?





ふっふっふー♪


なぜ、そこで僕の名前が!?
とんだ流れ弾なんだけど!



そうだな……でなきゃ、告白を断る場面で付き添いなんて頼まねえもんな。おい、茜。この「難関破り」が好きなのか?





べべべべつにアラタなんか好きでもなんでもないもん! なんでこんな奴を好きになんか……!





同感だ。僕の財布はこの大喰らいなちんちくりんを満足させるためにあるんじゃない





…………





…………





いてっ


おい、茜。何叩いてんだよ。
あと、神様も反対側から攻撃しないでください。



なら、問題ないな。おい、茜。俺とデートしろ





私も一度茜様と食事をし、お互いのことをよく知りたいですね


僕と茜が付き合っていないとみるや、攻勢に転じる二人。



うー……アラタぁ……


困り顔で救援信号を出してくる茜。
仕方ねぇな。



おい、お前ら----


派手に扉が開く音とともに現れたのは----



話は聞かせてもらったわ





ミドリ先生!?





わ! びっくりした!





先生!?





驚いたな……今、取り込み中なんだよ





おい、赤城!


てめ、赤王子コラ。
愛しくて可愛いミドリ先生になんて口利いてんだ。
ミドリ先生は麗しいくらいの笑顔で返す。



ええ。大体筋は聞いていたわ。二人とも茜ちゃんに告白して玉砕。でも諦められない。そうでしょ?





えぇ……まぁ





そういうことだな





では、こうします。これから、茜ちゃんを賭けて赤城君、青田君、そして……アラタ君とで勝負してもらいます!





なっ…





なっ……





………へ?





♪





なっ





なにぃいいいいいいいいいいい!?


そうして。
このミドリ先生の宣言により、
「赤王子・青執事告白事件」は大きく動き出すことになる。
