妖精・白沢が苦しみ始めたと思ったら、どうやらトイレが近いだけのようだ。
白沢は慌てて教室を飛び出し、近くのトイレに駆け込んだ。



ぐああああああああ!!!!





白沢!?





漏れる……アレが!!





ん!?


妖精・白沢が苦しみ始めたと思ったら、どうやらトイレが近いだけのようだ。
白沢は慌てて教室を飛び出し、近くのトイレに駆け込んだ。



はあ……はあ……、お、終わりました


そして、何やら唱えていたこの娘も仕事を終えたようだ。
とりあえず、あれだけ早口で喋っていたのに、一度も舌を噛まなかったことに敬意を表したい。
ありがとう、不思議ちゃん。
何も起こってはいないけど、なんか元気をもらいました。



どうですか……、調子は!?





あ、うん! だいぶ楽になった気がするよ!





それはよかった!





ほんとありがとな! では今日はこれで……





じゃあお礼はいらないので、部員になってください!





……





……





あ、え?


なん……だと……。
何を言っているんだ、この天然不思議系を装った鬼畜悪魔ちゃんは。
調子乗り子ちゃんかよ。
もう俺はこの娘から逃げられないのだろうか。



あの、何をおっしゃっているのでしょうか、百合乃さん?





実はこの部活……、人数が少な過ぎて廃部寸前なんです





少ないというか君1人でしょ?





いえ、私含めて3人いますよ!





あーそうなの……





このままじゃ、オルタナティ部と合併しないといけなくなりますので





ちょっと気になるその部活





お願いします! 4人になれば正式な『部』として活動出来るのです。是非とも心霊現象を体験した雄太さんにメンバーに加わってほしいんです!





ん……


困った。
本当に困った。
これは入ってあげないと、後味が悪くなるやつだ。
どうする俺。



いいんじゃね?





うわ! びっくりした!!





ん?





あ、ごめん独り言!





入ってあげなよオカルト部、どーせ暇だろ?





しょうがないか……





え!?





入部させていただきます、オカルト部





ほ、ほんとに!? ありがとうございます!





お役に立てるか分かりませんが?





全然大丈夫です! それにしてもよかったあ!





見ろよあんなに喜んで、可愛いじゃねえか





確かに





相手に喜ばれるって良いもんだろ?





不安だらけだけどな





明日また放課後来てください! メンバーを紹介しますから!





わかったよ


こうして俺、細川雄太はオカルト部に正式に入部が決まった。
妖精に出会ったり、美女に部活の勧誘されたりと、ここ最近俺の周りで大きな変化が起きている。
まあ、もともと帰宅部だし、暇だからいいんだけど。
でもこれで木葉と会う機会も、また減ってしまうのだろうか。
いつかは、『自分の言葉で告白を』と胸に強く誓った俺は、このオカルト部で己自身を鍛えてみようと思った。
実際に何をする部活なのか、まだはっきりとしていないけども。
第八話『入部』 終
