ローズの自己嫌悪の向かう果て、自分の頭の中が”キュウッ”と締め付けられるな苦痛の後、意識が塵のように散って逝くように感じその恐怖から悲鳴を挙げた。
叫ぶ事で、遠のいてゆく自分という意識を掴みたかった・・。
だが、外部的視野は働かなく、思考だけが進行してゆくだけだった・・そんな中。
ローズの自己嫌悪の向かう果て、自分の頭の中が”キュウッ”と締め付けられるな苦痛の後、意識が塵のように散って逝くように感じその恐怖から悲鳴を挙げた。
叫ぶ事で、遠のいてゆく自分という意識を掴みたかった・・。
だが、外部的視野は働かなく、思考だけが進行してゆくだけだった・・そんな中。



・・ねぇ・・大丈夫?・・・





・・・具合悪いの?・・・


自分に対する呼びかけでローズの視界は開け、我へと還るのだった。



聞こえてる・・?





・・・・・。


という、母上の問いかけに対し無言のまま”コクンッ”と頷くローズ。
その答えに対して、母上も安堵した様子で語りかけた。



・・え~っと、そういえばまだお互いの名前知らないわね。





私は”ナスターシャ”、ナシャでいいわよ。あなたは?





・・・”ローズ”。





うん、答えてくれてありがとローズ。


他愛のない会話で気を落ち着かせるためというのが主旨なのだろうか・・二人はここで初めて簡単な自己紹介をして互いの名を知るのだった・・。
変わらず感情が晴れないローズ気を払いつつに話を進めた・・。



ローズ?





・・・ん?





ローズはちゃんと自分の罪を自覚してる、逃げずにしっかりしてると思う。
もしかしたら、自分を誤魔化して殺しの罪を無かった様に繕ったりもできた訳よね?





確かに異端の者が殺人を犯せば、もう弁解の余地が無いほど重い罪、忘れようにも忘れられずにいただけかもしれない・・。


その母上の問いに対し、今度はローズが語るように自分の考えを述べた。



私はそう教えられてきたから・・いずれ戦地へ赴く時があるだろうからって、パ・・お父さんから・・。





「その内、お前もこの家の者として人同士の争いに巻き込まれることになる・・そして、その場所で時に自らの手を汚し続けなければならない時もやってくる。
どうしようも無い自責の念に襲われるかもしれない、けれど自分にできるのは散って逝った者たちの事を想うことと、形式的な償いだけだと・・。





「語るべからず・・唯そのことを行動に移し続けろ・・と。





私もそれが正しいと思った、正当な殺しが在ったとしても、それは理論で・・集団的解釈に過ぎないでしょ?
一人の人間として、殺しの経験こそが罪で、己をより非情な存在へと変わりうる材料のはず!


この時代、親の後を継ぐことを一般的であった、魔法使いは職業という概念にあてはまるか微妙なとこだが・・。



・・わぉ・・さすがは戦場の魔法使い・・なんという教育を・・私なんかより、道徳的な?学習させられてるじゃない!!


と、内心驚きつつ年下のローズの考えに耳を傾ける母上だった・・。



けど、今回は私は何もできなかった・・。





捕まって処刑されようとも考えたけど・・結局死ぬ勇気も無く・・ふらふらと迷い続けるだけだった。


ローズは自分の思いをすべて口にした・・様々な考えを持ちつも、それらがすべて結果に繋がり得ないことがもどかしく焦燥し続けたのだろう。
そんな落胆するローズに母上は・・。



ローズはどうしたいの?
このままあなたをこの土地の領主の所へ人殺しの魔女として送り込めば大衆の前で処刑され一時理不尽な世に虐げられてきた人々も満足するかもしれないわ。





私は・・生き・・たい・・。
パパもママも身を犠牲にして私を逃がしてくれた・・「魔法使いの子として厳しい事たくさん強要してきたかもしれないけど・・親としては・・幸せになってほしいかった」って・・。
最期に・・そう言ってくれた、届かないかもがけどその言葉に応えたいの・・。


ローズは初めて願望を・・本音を口にした、この思いが、ローズを生きたいと思わせる元・・。
・・”その言葉を待っていた”母上はそう心の中で呟いたのだろうか・・。



分かったわローズ、あなたが自分の中の罪が償えるようになるまで私がかくまってあげるわ!


と、相槌なしにそう母上は口にした。



でも、それじゃ・・!!





バレたその時は私も同罪ね・・。


そう、異端者を匿う罪は重い・・その地に生きる者全員にさえ波及す可能性がある。
軽く承諾するわけにはいかない・・。



それに、驚きはするかもしれないけど、情に熱い人が多いから話せば領主様や村の皆納得してくれるはずよ、保障するわ・・嫌?





その責任が重いというか・・悪いというか・・その・・。





甘えていいのよぉ?ローズ。頭は働くけどまだ子供よ、何事も一人じゃできないこともあって当然じゃない。





味方させて!これは私からのお願いよ。
あなたはまだ死ぬべきではないという私の勝手な判断かもしれないけど・・。





・・いいのかな・・?





モチのロンよ・・!





・・ありがとう・・ナシャ・・。





そうと決まればマイハウスにご案内~、その傷だらけの姿なんとかしないとね!


こうして、ナシャに向かい入れられ、アルヴィドに住むことになった・・。
当初は領主のおじさんもすべてを打ち明けて話した時は困惑していたけれど、数日の間に正式にこの地に住む事を承諾してくれた。
住み始めてからは色々あった・・ナシャに”母上”とお呼びと激しく狭まれたり。
ナシャのお母さんのグランドマザーに薬草を調合できるようになって、早く皆に貢献できるようになりなさいときつくしごかれたり。
赤ずきんを送ってもらい、実名を隠し・・赤ずきんが似合うからこれから”赤ずきん”と呼びましょうという事になって・・。
グランドマザーに至っては、この可愛らしい赤ずきんは私が作ったと自慢して回るし・・そのせいだからね赤ずきんが可愛いと定着したの。
ナシャも便乗して赤ずきんとしか呼んでくれなくなるし、嫉妬して・・。
けど、気ままに繕う赤ずきんとしての私から分離したようにローズの私は・・そんな生活の中・・本当に色んな事や、沢山の温もりを与えてもらった、この地のできごとが大好きなんだと思う・・。
赤ずきんは・・6年前の出来事を思い出しながら家路を歩き、やがて家にたどり着いた。
そして、心新たに・・力を込めて家の扉を開けた。



ただいま・・。





おかえり”赤ずきん”配達ご苦労さま。





”ナシャ”、話があるの!


第3話へ続く・・。
