


あ~幸せ。この世に、こんな美味しい物があっていいのかしら。





恵さんはここのお菓子がお気に入りですね。





あたし、甘みの女王にはひれ伏してもいいわ。





恵さんは、他に何が好きなのでしょうか。





え……ほか? そうね、さきイカとか。





なんでそこで一気に年齢があがるのですか。





うるさいなあ。人が何を好きだろうが勝手でしょうよ。





構いませんが。





それにしても、恵さん以前は酸味のあるものが好みだったのでは? 小学生の頃はレモンが好物と。





小学生の時は、エイミさんとお会いしておりませんが。





道隆様の資料より学びました。





あんのオヤジー!





まあ、それはいいとして……確かにね。昔はすっぱいの好きだった気がする。





でも気がついたら、そこまで好きでも無くなってたんだ。





好きなものって、結構変わるよね。何でかな。





エイミには好きなもの自体もピンと来ませんが――





自分の好きなものすら変わっちゃうんだもの。他の人の、「今」好きなものなんて、全然想像もつかないわ。





食べ物だけの話じゃないけどさ。友達と一緒に、夢中になってハマってたものがあったとして。いつの間にか友達だけその興味が薄れちゃって。





自分だけ本気ではしゃいで……馬鹿みたい。
そんな状況に鉢合わせすると、すごくもどかしい気持ちになるんだ。





それは逆だってあって。あたしだけ昔の熱が持てなくなって、一緒に騒いでてもなんか空虚で。友達騙してるみたいで申し訳なくて。





心とは、好みとは、まるでアップデートされ続けるシステムのようですね。いつまでも同じではいられない。環境に晒され、変わり続けるもの。





変わってしまった後で、もとの自分に戻るのは簡単なことでは無いのでしょう。……ですが。





元の自分も、間違いなく恵さん、あなたなのだから。たとえご友人と好みが変わってしまったとしても、今までを否定する必要はないのでしょう。





好みが変わったとしても、今までは今まで……か。確かにね。いいこと言うじゃない。





エイミさんは? 変わってきてるの? 自分が、過去の自分と違うって感じることはあるの?





携帯できるデータ容量にも限りがありますので。過去の不要な情報は、さっさと捨てていますよ。昔のエイミなんて覚えていません。





あれれ~? 結論おかしいなあ~?


