浅草を去ってから半年後、
そこから少し離れた町で
小暮はいつものように
パチンコを淡々と打っていた。
当たり前のように連荘して
ドル箱に玉を馴らして詰めていると
菅原が後ろから話しかけてきた。
浅草を去ってから半年後、
そこから少し離れた町で
小暮はいつものように
パチンコを淡々と打っていた。
当たり前のように連荘して
ドル箱に玉を馴らして詰めていると
菅原が後ろから話しかけてきた。



おお、いたいた!
探したよ~、小暮選手。
今日も儲かってる?
そろそろウチのアパートでも買わない?





遠慮しておくよ。
そういうのは顔見知りからは融通してもらわない事にしてる。
情がトラブルを産みかねない。





そりゃごもっとも。
なあ、ちょっと話があるから切り上げてくれねえか?


小暮は誘われるがままに
白髭橋の上まで連れていかれた。
互いにタバコに火をつけ、
菅原が徐に話し始めた。



なあ、昨日ここで飛び降り自殺未遂があったんだけど知ってるか?





ああ、ここの常連に聞いたよ。
粧子がここから飛び降りたんだってな





は?てめえ何スカして言ってやがる?
知ってんなら会いに行ってやれよ!
浅草寺病院にいるからよ!?





どの面下げて会いに行けばいいんだよ


菅原が小暮の胸倉を掴んで
橋の手すりに彼の背中を
激しく打ち付けた。
そのまま川に小暮を突き落す
勢いで問いかける。



毎月、粧子ちゃんが俺のところに金借りに来てたのは知ってるよな?無利子でさ





お前がこの町を出てからもずっとそんな感じでさ。
毎月頭を下げにきてた。
そこで俺は言った。





今までの借金全部チャラにするし新しい施術院も工面する、全部出す。
だからその代わりに俺の女になってくれ





ごめんなさい。私、忍を今でも待ってるんです。本当にバカでごめんなさい。お金はもう絶対借りに来ませんので





・・・





泣きながら謝ってきた。
それからもあんな細い体で重い道具を担いでは出張する姿を町の至る所で何度も見かけた。
そして必ず立ち止まって深々とお辞儀するんだ


小暮を解放して
菅原は岩のように大きな
背中を震わし涙した。



…本当にすまなかった





なめんじゃねえよバカ野郎


菅原はその大きな拳で彼を殴り飛ばした。



やりきれねえよ。
結局俺じゃなくてお前なんだよな。
ガキみてえな事言うけどよ、
お前ばっかズルいよな。
わりい、一生分殴るぞ





…頼む。粧子の分までボコボコにしてくれ





だからそういうカッケエとこが反吐出るんだろうが!


菅原は橋の上で馬乗りになって
小暮をタコ殴りにした。
続く
