フィリアの追われていた理由が、“予知能力”であるらしい。
フィリアの追われていた理由が、“予知能力”であるらしい。



確かに、珍しい能力ですね





そうよ、だから面倒なことにならないように必死で隠していたわけ





“予知”というと、これからいついつに何が起こるからこうした方が良い、みたいな感じですか?


あまりそちらの方は詳しくないので、俺がそう聞くとフィリアは、



大体そんな感じだけれど、実は、“予知能力”には二つのタイプがあるって知っていた?





え、そうなんですか?





そうそう。
一つは、現時点で望んだ“未来”を終着点に固定してそれまでの過程を見る能力。





もう一つは、始点、つまり行為などを行った場合、過程を飛ばして特定地点の“結果”だけを見る能力





なるほど。
たしかにどちらも“予知”といえますね





そう。
ちなみに前者の方が圧倒的に多くて、私みたいな能力者は百年に一人くらいしかでないみたい。
しかも現れるのは“魔女”の血統が主らしいのよ


そういえばフィリアは魔女であるらしかったなと俺は思いながらそこで、



でも、マリーの“冗談”のおかげで必死に隠していたわけだしね





えへ。まさかフィリアにそんな力が有るなんて思わなかったし?





“天使族”の末裔が聞いて呆れるわ。この腹黒が





やーん、私、何処からどう見ても天使にしか見えないって周りの男性、女性に言われるのに





能力や魔力が高い人間には“天使族”の崇拝が効かないから仕方がないわね。
だから私も友だちになったんだし





そうよね


それを聞きながら実はこの“マリー”は天使族だったらしいと新しい情報を仕入れる俺。
美しい容姿をした癒やしと邪気を祓う、白い羽が生えた者達。
系統は違うが属性がユニコーンとかぶっているなと、以前俺は本で読んだ時に思ったのだ。
と、そこでレイトが、



“天使族”なのに何で影が操れるんですか?





? ああ、“吸血鬼”は光が操れないの?





……なるほど、その原理で





そうそう


レイトとマリーで話し合いが行われて、けれどその会話ではよくわからなかった俺が、



どういう意味ですか?





ん? ああ、影は光と対になるから、光を操れば影も動くと、そういうことよ





なるほど。
光の位置を動かせば影も動くから





そうそう、間接的に動かせるのよ。
だから両方使うのが良いのよね。
相手が別種族だと勘違いするから、手が読みやすいし


ニヤッと笑ったマリーに俺は、この人はフィリアと同じ危険な女の子だと思った。
だから話をそらす意味で、これまでの出来事を思い出しながら俺は、



そういえばフィリアは、レイトの屋敷の前で待っていたらレイトが出てくるのが分かったりしていましたね





だから僕はあんなにあっさり捕まってしまったのか……


レイトがさり気なく、プライドが傷ついているようだった。
そんなレイトを見ながらさらにこれまであった出来事を俺は考えていって、



喫茶店でお茶をした時フィリアの追っ手が来るのも当てたし、飲み物や食べ物の睡眠薬も当てたし、レイトの部屋であるものがあるのも気づいたし





! ま、まさかどんなものがあるのかまでは……見てませんよね?


レイトが不安げな顔でフィリアを見るが、フィリアはくすりと小さく笑い、



“巨乳のおん……”





雑誌の題名を言うのは止めてぇぇぇぇ!


レイトが涙目でフィリアを止めにかかった。
なんという残酷な事をと俺は思いながらも、一応は、レイトは親友なので、



そ、それでどうしてフィリアはその能力を気づかれて、追われることになったんだ?





……下僕その2で遊んでいてもそんなに面白く無いわね。
いいわ、下僕のお願いをちょっとくらいなら聞いてあげる





……ありがとうございます





後で対価を支払ってもらうけれどね。





体で





!


舐めるように俺はフィリアに上から下まで見られて、俺が小さく震えるとそれにフィリアは満足したらしい。
ふうとため息を付いて、フィリアは話しだした。



実は私、貴族の生まれだったんだけれど、親が事業に失敗して家が傾いちゃって





そうなのですか


どこかで聞いたことがあった気がするが、何だったかなと俺は思う。
けれど思い出せないので、気のせいだなと俺はすぐに片付けてフィリアの話に耳を傾ける。



それでまあ私の力を使って、“投資”をすることにしたの。





結果が分かるなら、幾らでもお金が手に入ることになうわけで……それでまあ、何とか家は持ち直したの





なるほど。
それで気づかれてしまったと





いえ、そんなので気づかれるほど私が間抜けなはず無いじゃない


あれ、違うのかなと俺が思っているとそこでフィリアが、



たまたま最近、新規の株でものすご~く儲かりそうなのがあったのよ。
誰も目をつけていないような、ね





は、はあ





それで欲を出して購入して売り払ったんだけれど……それが問題でね





なるほど、それで能力がバレたと





いえ、それではバレなかったわ


フィリアがものすごく嫌そうな顔で、バレなかった告げる。
では今の話に関係が無い所でバレたのだろうかと俺が思っていると、



あまりにも上手く売り逃げしたから、インサイダー取引をしているんじゃないか疑惑が出ちゃって





……





それで結局はそうではないことが分かってもらえたのだけれど、そうなってくるともう“予知”をしているとしか思えないな、と言われて





……なるほど


案外別の所、それもまさかという切り口から気づかれてしまうのはよくある。
たまたま参考書を借りに来たら、それを引き抜くとカバーだけで……。
その辺の話は置いておいて、そういった理由で気づかれたらしい。
なのでフィリアは逃げてきたようだ。と、



でも上手く、ユニを捕まえられたのは良かったわ





え? 俺を、ですか?
というか、何処かで会ったことがあったのですか?


フィリアに再び冷たい目で見られた。
と、そこでレイトがマリーに、



そういえばユニコーンの末裔が必要と言っていましたね。
何かこの一連のそれに関係があるのですか?





その装置を異界に接続するのに、ユニコーンの末裔の力が必要でして。





それも恋人のいるモノのほうが力が強いので、そちらのほうが良いだろうという話になっているのです


マリーの答えに、俺とレイトは顔を見合わせたのだった。
