自らが語る”愛”には語る価値が無い・・そう思い赤ずきんは言葉を濁した。



赤ずきん、嘆く必要は無いのよ・・





し、しかし母上・・!





男女間の愛で盲目になってはだめよ赤ずきん、
あんたの科学に対する探究心も立派な”愛”の形なんだから。





けど、それは未熟な・・


自らが語る”愛”には語る価値が無い・・そう思い赤ずきんは言葉を濁した。



”愛”には未熟も糞もへったくれも無い!!





!?


そんな赤ずきんの自己嫌悪を救い上げるように母上の言葉が突き刺さる。



科学に価値を見出して、それに快感を得ていた一方的な恋かもしれない。





けれど、その恋は愛へのエネルギーへと変容する可能性を秘めているものよ・・。





愛の・・エネルギー・・?





愛のエネルギーは、空気と同じくヒトに原始的に内包されているわ!
赤ずきん、あんたも感じたことがあるはず!
「幸福になってほしい」「感謝を示したい」「役に立ちたい」「喜んで欲しい」という感情を。





それが・・”愛”?





そうよ・・赤ずきん。





そうか、科学を考えていた時この湧き出るような感情こそが”愛”・・。
私は、私の発明を通じて多くの人に幸せになって欲しかったから・・。


自らの感情を噛み締めるよう・・自問自答し確かめる赤ずきん・・。



けど母上。





何?





私は伝え方が未熟だ、天然やら夢子ちゃんやら周りに言われる訳で・・。





その言葉を待ってたわ・・。





そんな赤ずきんさんにこちら!!


長年見計らっていたかのようにその言葉に呼応、机の下から何かを取り出す母上・・。
※これが作者の画力の限界ですご了承下さいm(_ _)m



!!?


取り出したのはなんと紙芝居、母上が赤ずきんに朗読しますが・・皆さんはストリエ形式でお読みください・・。
ジャングル神話
がんばれゴブオくん



何か始まった・・。


ここは、世界のどこかに存在する野生と自由の楽園その名は”ゴリランド”
そこに生きる物は”BANANA”を資本とし、多くの”BANANA”を持つ者が権力を持ち支配しているのだ!
この永遠生い茂る密林の中一つのドラマが生まれようとしていた!



おーいマリクさんたいへんだぁ!





どうしたんだゴブオくんそんなに慌てて。





ゴリラ王のご通達で来週から俺達尖兵もBANANA農園の管理に回されるんだってよ!
来週は毎日休みなく働かされちまうよ!





なぁにぃ!?
俺は来週、待ちに待ったマイハニーとのデートなんだぜ!!
そったら農園の管理なんかやってられるか!





落ち着いてマリクさん、それについては大丈夫。





なぜ、そんな保証も無いことを・・。





その大事な日だけは仲間たちに掛け合って、マリクさんが居なくても乗り切れるよう頑張るからよ。





ゴブオくぅん





なぁに、俺達ズットモだろ?
そのかわり、俺も休みたい時は変わってくれよな!





もちろんさぁ!





はい、ストップ!!


突如母上が紙芝居を打ち切り!



おっとぉ、いいとこだったのに。





もう一つのパターンも見て頂きたい。


母上にどんな思惑があるのかは謎だが再びシーンはゴリランドへ・・戻る。



なぁにぃ!?
俺は来週、待ちに待ったマイハニーとのデートなんだぜ!!
そったら農園の管理なんかやってられるか!





落ち着いてマリクさん、それについては大丈夫だしっかり話し合って決めようじゃないか。





安心しろよデートの日には極力かぶらないようにするからよ!





ゴブオくぅん





細かい違いだけど、違いに気付くかしら?





なめるな母上、前述のゴブオくんは自らがすべてを引き受けることによって話を付けていて。
後述のゴブオくんはマリクさんと話し合う事で、しっかりとした取り決めの中、話を導こうとしている。





正解!!





その二つが行動原理こそ他人に伝えること、話し合うことの核となるのよ。
他人を騙して物事を解決を図るということもできる・・けれど新たな問題発生にも繋がり、誤解が誤解を生むから、それは付け焼刃って感じね。





ほう、始めて母上から社会的教育を受けた気がする。





失礼な・・ちゃんと今まで為になること教えてきたはずよ。





ちなみに、ここまでの話はおばあさんから教わったものよ。





子から孫へと今伝わったという訳ね。





教えられた当時の私は子供だったから理解が遅く、分かりやすいようにこう教わったっけ





全てを抱え込み事を成す、
Pretty Babels!
全てと共鳴し成功へと導く、
Charming sunrise!





グランドマザー!!





Pretty BabelのBabelはその昔人類が神に近づこうとして建てたとされる崩壊の塔のこと。
その逸話の如く、あまりに抱え込むと負の連鎖に巻き込まれ自らを崩壊させるわ!
とおばあさんが!





嫌、くどいし上手くないからな!


そんなあきれ返るような会話が進むにつれ、時間は過ぎ去っていき・・。



というより、そろそろグランドマザーのとこ行かなくちゃいけないんじゃ・・。





そうね、丁度いい時間かしら。





色々と勉強になったよ、ありがとう母上!





そう?それなら良かったわ!





あと、母上にいいお相手が現れない理由も何とな~く分かった気がする・・。





余計なお世話よ!!


そんなこんなで、女子?達の”愛”の談話は終わりを迎えるのだった・・。
赤ずきんの一言によって「え・・母上未婚なんですか?じゃあ赤ずきんは?」という疑問が生まれたところで、舞台は”アルヴィド”領主邸へ移ります・・。



何ぃ、実の親子ではないだと!?


突然露わになる赤ずきんの秘密にメガネの男に衝撃が走っていた・・!



ああ、赤ずきんはアルヴィドの魔女の子ではない・・。





確か6年前、森の中で彷徨っている所を保護したと聞いているが。





ほう、知ってて黙っていたのか?





聞かれなかったのでな。





ふん、白々しい・・。





あと名前・・とか分かるんじゃないか?





・・一度だけ名乗った・・それ以降は口に出させないようにしていた。
赤ずきん、彼女の名は・・・





ローズ・マクシミリア





マクシミリア・・だと・・そうか・・そういうことか!





くく、はははははは!!





そりゃあ面白い!こんな形で出会えるとはな・・。
いい情報ありがとよ!


何かを悟ったように、メガネの男は部屋を後にした。
それと、すれ違うように一人の男が部屋に入ってきた。



失礼しますよ領主様。





ああ、君か・・・それで状況は?





今は”狼”も赤ずきんの魔女も動きは無しですが近いうちに劇的に状況は一変し結果は出ましょう。
我々はただ、今は無関係の者に被害が及ばぬよう尽くすだけです。





そうだな、そしてその結果から生まれる物が白刃の刃と言うのならば、謹んで受けるのが・・傍観者としての役目なのだろうな。





間に立たされる者は苦労が尽きませんな領主殿・・。


突然現れた謎の男・・。
そして”ローズ・マクシミリア”・・その名が意味するものとは一体なんなのか。
次回、赤ずきんの過去が明らかになる!!
第2話へ続くぞ・・(-_-)v
