耳元で、チャプチャプと水の音がする。
耳元で、チャプチャプと水の音がする。
ほのかに香る潮の香り。よく響くカモメの鳴き声。
ジリジリと照りつけてくる太陽。
そして遠くの方からは、時折チャプンと魚が水面から飛び跳ねる音も聞こえてくる。
そんな夏真っ盛りの海の上、一隻の、人一人がやっと乗れるかという貧相な船の上に、一人の青年が寝ころんでいた。
やがて、青年はゆっくりと起き上がる。



......





えっと......どういう状況だ?これは。


少年は、辺りを見回す。
右を見た。海しかない。
左を見た。海しかない。



......


そして少年は、うんうん、と頷き、息を吸い、叫ぶ。



一体どういう状況だよ!? これは!!


まぁ、叫んでしまうのも無理はない。
なんせ周りには、広大な海原以外何もなく、加えて食料、飲料、船旅に必要と思われる全ての物が無いのだ。
やはり、叫んでしまうのは仕方のない事だ。



はぁ、はぁ、はぁ......





とりあえず、今の状況を整理しよう。





俺の名前は島宮蓮利。16歳。榊島に夏桜を見に行こうと定期便に乗り、部屋で就寝した。





そして目が覚めたらこの小さな船に乗り、海を漂流していた。





......





やっぱり意味分からない!!


やばい、更に分からなくなってしまった。



うるさいですよ、蓮利。





え?


突然割り込んで来た女性に、驚く蓮利。
ちなみにその女性は、蓮利と同じような船に一人で乗っていた。



......なんだ、夕音か


あっさりと真顔に戻る蓮利。
どうやら知り合いらしく、呼び捨てで彼女の名前を呼ぶ。



夕音だけじゃないよ?





そうだぜ、蓮利。





え?


蓮利が、声のした方を見ると、さっきまでは海原しかなかったのに、そこに蓮利が乗っている船と同じような船に乗った、少年少女がいた。



おはよう......かな?蓮利君





よっす!蓮利!





美優!それに春馬も!


蓮利は笑顔を浮かべると、彼女たちに笑いかける。

ちなみに、彼女は浅上美優。蓮利の......言わば彼女だ。

そして彼は、三浦春馬。蓮利の、そして美優の親友である。



蓮利。それより、挨拶しなくて良いのですか?





挨拶?誰に?





......





......





......


......



え、えっと?ど、どうしたんだ? 皆。


蓮利の言葉に、呆れたような......いや、怒ったような表情を浮かべる3人。



もう! なんで忘れちゃうの? 蓮利君!!





す、すいません......


見ると、どうやら相当怒っているらしく、少し怖い。



仕方ない。なら1から話すとしましょうか。蓮利の為に。





そうですね、そうしましょう。


そして、彼女たちは蓮利に、今までの出来事を語り始めた。
では私たちも、その話の`中`に、入り込むとしましょうか。
これは、覚めない夢のお話。
そして、覚めても`事実`になる、夢のお話。

ありがとうございます!
まさかコメントをいただけるとは……
更新速度は亀より遅いスナヒトですが、精一杯頑張ります!