校舎裏で女子を呼び出して告白する。
王道でベタな内容だが、実行者としては、実際人生を大きく左右するイベントだと思っている。
それなりの度胸、決断力を要する。



ついに、この日が来た……


校舎裏で女子を呼び出して告白する。
王道でベタな内容だが、実行者としては、実際人生を大きく左右するイベントだと思っている。
それなりの度胸、決断力を要する。
しかし……だ。
俺は今日、実行する。



お待たせー、雄太! ごめんね-、片付けで手間取っちゃってさ





いいけど別に・・・





珍しいよねー、雄太が部活終わるまで待っててくれるなんて





ちょっと話したいことあったし





裏で立ち話も何だし、久しぶりに一緒に帰らない?





うん……


彼女の名前は金藤木葉(きんとうこのは)。
通ってる高校では一つ上の先輩で、幼なじみである。
家が近いから小、中学校までほとんど一緒に帰っていた。
『容姿端麗・スタイル抜群』という言葉がここまで似合う女性は、17年生きてきて彼女しか知らない。
好きだったんだ……。
ずっと片思いしてた。
何回も!
何回も!
何回も!
言おうとしたけど、無理だった……。
だからこそ、今回は絶対成功させる。



ちょっとー、あたしの話聞いてる……?





え!? ごめん、もう一回言って!





もういいよ・・・・・・、ここ曲がったら家だし、また今度ね





あ、うん


あれ・・・?



俺今日、何話したっけ……


こうして俺の一世一代のイベントは、頭の中で完結した。



ただいま……





おかえりー雄太! ご飯あるけどどうするー?





後で適当に食うわ……





はーい♡ サバ缶も食べてね!


放心状態で帰宅した後、自室のベッドに倒れ込んだ。
もう何もやる気が起きない。
シーンと静まり返った空間に、テレビから芸人の声だけが聞こえてくる。
いつもなら爆笑間違いなしのネタも、ただの雑音にしか聞こえなかった。



はぁ……


今回の件に限らず、いつも何をやっても駄目な自分に悲観してしまう。
ほんと駄目駄目だな……、俺は。



苦労してんなー、アンタ





えっ!?


突然どこからか、野太い声が聞こえた。
いや・・・・・・、聞こえた気がした。
何故なら、この部屋には俺だけしかいないのだから。



馬鹿かお前! 下だ、下!!





し、下?


俺は恐る恐るベッドの下を・・・・・・。
覗いてみる。



やあ!





ん?


第一話『出会い』 終
