私が勝ち誇ったかのように微笑えむと途端にバーコードハゲの顔が青くなった。
私が勝ち誇ったかのように微笑えむと途端にバーコードハゲの顔が青くなった。



……なにい?
亜矢、どういうことだ?


親父が凄む。
私はニヤニヤが止まらない。



そこのバーコードハゲに聞いた方が早いんじゃないですかぁ?


急に話を振られてバーコードハゲが動揺する。



な、なんの話だ?


バーコードハゲはこれでもまだシラを切る。
でも顔は真っ青。
自分がやりましたと言っているようなものだ。
さあ、ネタばらしの時間だ。



まずあなたは学園とパイプを持っていて、そこから得た情報を基に下請けに脅迫を繰り返してました。
そこで沙羅ちゃんの妊娠を知ったんでしょう。
おそらくそこで横流しに気づいた仲間さんがあなたを問い詰めたんでしょう?
ところがあなたは沙羅ちゃんの妊娠をネタに逆に仲間さんを強請った。
『俺がなんとかしてやるよ』とか味方のフリしてね。





しょ、証拠はあるのか!?


私はニヤニヤしながら書類を放り投げる。



はい証拠。
これが武藤マテリアル関西支社の横流しの証拠ですわ。
巧妙に隠してますけどかなりのロスが出てますわね?
それにこれはうちの学園の理事の口座への送金情報。
沙羅さんのお父様の情報はここからでしょうね。
それで横流しに気づいた仲間沙羅さんのお父様へ圧力をかけましたわね?
さらに同時進行で白瀬の技術も脅し取ろうとしたんじゃないかなあ?
そりゃ、うちくらいの会社に『ぶっ潰してやる!』とか言われたら従うしかありませんわね。
しかも二人を別れさせて両方に恩を売るなんてクズ以下のクズですわ!


私はバーコードハゲを指さした。
さすが優秀な執事。
素晴らしい調査能力だ。
バーコードハゲの顔が青くなる。



おーっほっほっほ!!!


私はそれを見て勝ち誇ると、持っていた鞭でぴしんと机を叩く。
思えば裏のからくりはなんとも単純な話だった。
沙羅ちゃんが狙われていたのではない。
狙われていたのは白瀬だったのだ。
一周目では最終的に沙羅ちゃんのお父さんは会社を追われたのだろう。
それで沙羅ちゃんは帰るところがなくなったのだ。
それを思うと私はどうしようもなく腹が立ったのだ。
私は机の上に登るとバーコードハゲの前でしゃがんでネクタイをつかんだ。



さてどうします?
バーコードハゲのオ・ジ・サ・マ♪





くうう!すべて直接の証拠じゃない!俺はなにもやってない!


ですよねー。
そう言うと思ったわー♪
私は笑顔のままバーコードハゲの頭頂部髪の毛をつまんだ。



えい♪


ぷちぷちぷち。



ひいいいいいいいいいいい!
髪の毛がああああああああああッ!





オ・ジ・サ・マ♪
私は警察じゃな・い・の♪
わ・か・る?


ぷちぷちぷち。
ついでに頭に鞭ぺしぺし。



うわあああああああああああ!
髪の毛があああああああああ!


散乱する髪の毛。
会議室にいた全員が私の暴挙に固唾を飲んだ。
その中の数人はなぜか頭を抑える。
でもそんな空気は読まない!
私は悶絶するバーコードハゲを無視して親父の方を向いた。



お父様。もちろんそちらでも調べてくれますわね♪


私は聖母のように微笑みながら念を押した。
あくまで私のは下調べだ。
本調査が必要なのだ。
だけど、なぜか親父は頭を抱えている。



……修一。
俺はお前を息子のように思っている……
それなのに……それなのに……
どうしてこうなった!!!


親父ガチ泣き。



汚嬢様がポンコツなのは決して私の責任ではありません


いや確かにそうだけどよ。



ちょッ!お前ら酷え!揃いも揃って『汚嬢様はワシが育てた』くらい言えないのか!


言えるかボケ。
二人の絶対零度の視線はそう物語っていた。



と、とにかくだ。
このハゲに事情聴取しなきゃ!
この時点で解決しないとマスコミにかぎつけられて人権侵害だと大騒ぎ。
掲示板に全部書かれて会社が致命傷を負いますわ!
今の時代は世間様は恐ろしいのですわ!


本心では会社なんてどうでもいい。
一年後には潰れるのだ。
こういうことの積み重ねで恨みを買ったのだろう。
でも相手に合せて、相手にわかりやすいように話をしなければ伝わらない。



あ、ああ。そうだな


親父は案外素直だった。
マスコミなんて金を積めば黙っているなんてほざいたら、動画投稿サイトに全部証拠をアップロードしてこんな会社葬ってやろうと思っていた。
それをしなくていいのは楽だよね。
でも反対側から見れば、事情聴取される方は死刑判決みたいなものだよね。



ひいいいい!


ストレスに耐えきれなくなり、逃げるバーコードハゲ。
60歳を超えているというのに逃げ足が速い。



おどりゃああああああ!!!


汚嬢様にあるまじき大声を出して私は会議室の机をぶん投げる。



んぎゃああああああああああ!


机はバーコードハゲにヒット!
バーコードハゲは悶絶する。



逃げるってことは自白したも同然ですよね?


ぽきぽきぽきぽき。
私は拳を鳴らす。
うけけけけけけ!
ざっつお仕置きターイム!



ひいいいい!来るな!来るなあああああ!





WRYYYYYYYYYYYY!


私は某吸血鬼のごとくバーコードハゲに飛びかかる。
まず残り少ない頭頂部にコミットする。



ひいいいい!
つかむな!
つかまないでえええええええ!


プチプチとつかまれた頭頂部の毛が断末魔をあげる。
もちろん私は容赦しない。



NAMIHEIにしてくれる!





いやあああああああああああッ!


ひるんだバーコードハゲ。
私は華麗な動きで背後へ回る。
そして胴に腕を回すと、



おどりゃああああああああああッ!


成敗!!!
ジャーマンスープレックス。
背後から相手の腰に腕を回し後方に投げ、そのままフォールする技だ。
汚嬢様48の必殺技の一つだ。たぶん。
ここでまたもやプオタ(プロレスオタク)の遠藤さん(38歳、好きなレスラースタン・ハンセン)に習った知識が役に立った。
プロレスの知識でどれだけの指名が入ったか!
それだけの必殺技だ。
バーコードはピクリとも動かない。



汚嬢様。
見事なノックアウトでございます。


修ちゃんが言った。
ああ、これで終わりだ。
明日にでも調査チームが編成されるに違いない。
後は調査チームが全容解明をしてくれるだろう。
一件落着。
修ちゃん一人でもどうにかなってたと思う。
わざと私にトドメを刺させてくれたんだなあ。
そんな修ちゃんには謝罪しないといけない。



ごめんね修ちゃん。
スカートにしておけばパンツ見えたね……ラッキースケベの機会を奪ってごめんね……


実に残念。
今のコスチュームはズボンなのだ。



てめえケンカ売ってんのか?





しゅ、修ちゃんは白と黒と水玉、どれが好き?





少しは話を聞けよ!
このどアホ!





修一。
苦労をかけるな……


なぜか親父は泣いている。
そうか、そうか。
そんなに娘の成長が見られて嬉しいのか。



ほらお前、旦那様泣いてるだろ!
あやまれよ!





んー、くまさん?





頼むから聞けコラァッ!
台無しだよこの汚嬢様!!!


相変わらず修ちゃんは容赦なくフラグを折ってくる。
でも負けない!
いつか攻略してくれる。
私は心を新たにした。
これで一件落着……うん?
あ、そうだ!
学校に行かなくては!



修ちゃん。バイク貸して。





え?
ちょっと待てお前いつ免許取った!?





ふふふ。
お嬢様はなんでもできるのだよ。


私はスタスタと修ちゃんから逃げるかのように早足で立ち去る。
キーがなぜか手の中にあるのとかは気にしない。



オイコラ無視すんなー!!!
おい、ちょっと待て!
おーい!!!



感想ありがとうございます。
今回はルルル用の作品で次回で完結です。
続きが書けるようにしてありますで、続きを投稿するかもしれません。
がんばります。