ママの友達?!
ママの友達?!
彼と公園で桜を観ながら、ぽつぽつとお喋りした。
私はしゃべらなかったけど、彼はゆったりと話す。
嫌いじゃない声。
明るく、優しい。
大した内容はなかったけど、一緒にいられるだけで嬉しかった。
夕日が沈み、暗くなると家まで送ってくれた。



私の家がどこにあるのか
聞かないんだ……。


迷うことなく、家に着く……。



ボクの家、あっちだから。


小学校とは反対方向。
それなら私が前を歩いていても、おかしくはない。



もっと早く気付きたかった……。


家のドアが開いて、母が出てきた。
専業主婦の母は、窓の外をよく見ていて、私がいると開けてくれることがある。



ママのこと、なんて説明しよう……。


母のことを紹介すると、大抵の場合



え~。うそ~。
お姉さんかと思った。


最近は



妹さんじゃないの?


とか、



血、つながってるの?


と、おっかなびっくり言われたりする……。



私の方が老けてるのかな……?


母の方がヘンなんだと思うけど……。
でも、玄関から出できた母は、私には目もくれず、経次郎たちの方に向かった。



経次郎くん、慶子ちゃん。
久しぶりね~w
窓から見えたから来ちゃった♡





はい?





こんばんは。
ご無沙汰しています。


なんの躊躇もなく、ヤツは言った……。



こんばんはw
すごーい。おっきくなったね~。おまけにイケメンになっちゃって♡





そんなことないですよ。





言うことも大人になってる~。
私が若かったら、放っておかないよ~。





やめて……。


勝てる気がしない……。



こんばんは。





誰?!





いや~ん、慶子ちゃん。
今日も可愛い~♡





私があげたヘッドドレス、
着けてくれてるんだ~。


何? ヘッドドレス?



はい。
お姉さまに作っていただいたからなのか、とっても着け心地がいいんです。





お姉さま?!


マジで誰だ?!
しかもアレ、ママの手作り?



あら? 静香ちゃんもいるの?
お帰りなさい。





ただいま……。


なんで、自分の家に帰ってきて、疎外感を味わわなきゃいけないわけ?



静香ちゃん、静香ちゃん。
あのね、この二人ね、ママ友の経次郎くんと慶子ちゃんなの。


お母様、「ママ友」って言葉の使い方、間違っていると思います……。



そうなんだ……。





はじめまして~!


クソ弁慶が、やけにでかい声でそう言った。
